始発 (自動車)

始発（しはつ）

始発は、国際車両工業社によって開発された自動車で、韓国国内初生産となる重要な存在です。1955年に登場したこの車は、その革新的な製造方法と設計によって、韓国の自動車産業に画期的な一歩を刻みました。

開発の背景

始発は、当初ソウル市で整備業を営んでいたチェ・ムソンと彼の兄弟によって製作されました。彼らは米軍から払い下げを受けたジープのエンジンと変速機を利用し、手作りで車体をドラム缶から加工して製造しました。こうした手工業的なアプローチで、完成までに4か月以上を要しました。

産業博覧会での評価

1955年10月、光復10周年を祝うために開催された産業博覧会で始発は出展されました。このイベントでは、始発は最優秀賞や大統領賞を受賞し、これがメディアに大きく取り上げられたことで、引き合いの多さが見込まれました。この受賞によって得た契約金を使って、チェ・ムソンたちは工場の設備を整え、量産体制に入ることができました。

生産と特性

始発は主にタクシー用の車両として使用され、1963年5月までに約3,000台が生産されました。車両は2ドアのデザインですが、タクシーとして利用された際には、助手席の背もたれを倒して乗客が乗り込むスタイルが一般的でした。この独特な乗降方法は、当時の使用環境に適応したものでした。

現在の保存状態

始発は、現在では韓国国内で5台ほどが保存されています。それぞれが貴重な歴史的遺産として、地域の自動車博物館などで展示されています。特に、韓国自動車博物館やサムソン交通博物館では、それぞれの始発にまつわる情報や復元プロジェクトが紹介されています。

結論

始発はただの自動車以上の存在であり、韓国の自動車産業の先駆けとしての役割を果たしました。彼の地で初めて生産される車両としての意義は、現在も多くの人々によって認識され、愛されています。こうした歴史的な車が今でも人々の記憶に残り続けることは、未来に向けた韓国自動車文化の発展にもつながっています。

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