姫路市場駅

姫路市場駅：戦後復興と都市開発が生んだ短い歴史

兵庫県姫路市延末に存在した姫路市場駅は、国鉄（日本国有鉄道）の貨物駅として、昭和32年（1957年）から昭和54年（1979年）まで営業していました。山陽本線貨物支線の終着駅でしたが、実際には播但線から分岐する路線でした。その短いながらも活気ある歴史、そして現在にいたるまでの変遷を紐解いていきましょう。

歴史ある市場と鉄道の接点

姫路市には、古くから活気のある市場が存在しました。豊臣秀吉の書状にも登場するほど歴史は古く、山陽電気鉄道山陽姫路駅北西側の久保町周辺に位置していました。しかし、戦災からの復興と都市交通整備のため、姫路市は市場の移転を計画します。そして、幾多の議論を経て、手柄山の東側に姫路市中央卸売市場が開設されることになったのです。

この市場の立地は、播但線のすぐ脇でした。この地理的条件を生かし、市場への引き込み線が建設されることになります。姫路駅から約1キロメートル、播但線の線路を南下した地点から分岐し、全長345メートルの引き込み線が敷設され、その終点に姫路市場駅が誕生しました。姫路駅から営業キロは1.5キロメートルでした。播但線からの分岐にもかかわらず、山陽本線の貨物支線という扱いでした。

昭和32年（1957年）3月16日、正式開業に先駆け、市場構内で完成祝賀式が執り行われました。C11形蒸気機関車が牽引する冷蔵車が駅に入線し、テープカットや花束贈呈など華やかな式典となりました。正式な開業は3月27日です。翌昭和33年（1958年）8月1日には、駅の東隣に山陽電鉄本線の手柄駅が開設されました。

営業期間中は、姫路駅から毎日4往復の貨物列車が運行されていました。しかし、国鉄ストライキなどの影響もあり、昭和54年（1979年）10月31日を最後に営業を終了しました。現在、駅跡地は舗装され、荷物置き場や駐車場として利用されています。

建設から廃止までの道のり

姫路市場駅の建設は、昭和29年（1954年）4月、大阪鉄道管理局への引き込み線建設願の提出から始まりました。その後、ルート決定（同年9月）、建設費負担額決定（昭和30年（1955年）3月）を経て、昭和31年（1956年）4月3日に竣工しました。そして昭和32年（1957年）3月27日、正式開業を迎えたのです。市場の営業開始は同年5月27日でした。

約22年間の営業を経て、昭和54年（1979年）11月1日、姫路市場駅は廃止されました。営業最終日は10月31日でした。短いながらも、姫路市の経済活動を支えた重要な役割を担った駅でした。

周辺環境と今後の展望

姫路市場駅の周辺環境は、廃止後大きく変化しました。駅があった場所は、現在では駐車場や倉庫などに姿を変え、かつての賑わいは見る影もありません。しかし、その跡地は、姫路市の歴史を語る上で重要な場所として、記憶に留め置かれるべきでしょう。

かつての活気は失われたものの、姫路市場駅の存在は、戦後の都市開発や物流の変遷を理解する上で貴重な証です。その歴史を後世に伝える努力が、これからも必要とされています。

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