婦人の肖像 (Portrait of a Lady)

原由子『婦人の肖像 (Portrait of a Lady)』

原由子の4作目のオリジナルアルバム『婦人の肖像 (Portrait of a Lady)』は、前作『MOTHER』から約31年ぶり、アルバム全体としては『ハラッド』以来約12年ぶりとなる待望の作品です。サザンオールスターズのデビュー44周年となる2022年6月25日に発売が発表され、同年10月19日にリリースされました。

制作の背景

本作は、原由子の音楽キャリアを44年間共に歩んできた夫、桑田佳祐が全面的にバックアップしています。タイトルはグスタフ・クリムトの絵画に由来し、桑田佳祐によって命名されました。2012年頃から桑田佳祐は原由子に作曲を促しており、原由子は日頃からメロディーやフレーズをメモに書き留めていたそうです。2021年7月から本格的なレコーディングが開始され、原由子自身が温めてきた楽曲のモチーフや現在の気持ちを反映させた楽曲をまとめるというコンセプトで制作されました。楽曲制作、アレンジ、演奏とレコーディングが進むにつれて、原由子は音楽制作の楽しさを再認識し、桑田佳祐からの後押しもあり、全10曲のアルバムとして完成しました。

音楽性

アルバムのテーマは、ミュージシャンとしても人間としても円熟味を増した原由子の等身大の姿です。「今の時代」と向き合い、洋楽からインスピレーションを受け音楽的な実験を試みたり、現代社会へのメッセージを歌詞に込めるなど、原由子のパブリックイメージを大胆に刷新する内容となっています。桑田佳祐と原由子が共作した楽曲も多く収録されており、曲や詞のやり取りは主に自宅のダイニングテーブルで行われていました。

プロモーション

リリースに際しては、ラジオ番組での特集や先行試聴会、テレビ番組への出演など、多岐にわたるプロモーション活動が展開されました。

ラジオ出演: 桑田佳祐のラジオ番組『桑田佳祐のやさしい夜遊び』で原由子がDJを務め、アルバムの制作秘話などを語りました。
先行試聴会: 全国5都市の映画館でアルバムの先行試聴会が開催され、ファンクラブ会員などが招待されました。
* テレビ出演: 『マツコの知らない世界』や『徹子の部屋』、『関ジャム 完全燃SHOW』など、人気番組に多数出演し、アルバムについて深く掘り下げたトークを繰り広げました。

収録曲について

アルバムには、先行配信された「ヤバいね愛てえ奴は」や、ユニクロのCMソングとして話題を呼んだ「鎌倉 On The Beach」など、バラエティ豊かな楽曲が収録されています。

1. 千の扉〜Thousand Doors: 森雪之丞が作詞を担当したNHK『みんなのうた』の放送楽曲です。
2. オモタイキズナ: 桑田佳祐が作詞を担当し、大サビのラップは桑田佳祐が即興で収録しました。
3. Good Times～あの空は何を語る: 原由子がギターで作曲した楽曲で、歌詞にはロシアによるウクライナ侵攻を受けて時勢を反映した内容が盛り込まれています。
4. 旅情: 桑田佳祐が平岩弓枝の小説からインスピレーションを受けて作詞した楽曲です。
5. スローハンドに抱かれて（Oh Love!!）: エリック・クラプトンをモチーフにした昭和歌謡を彷彿とさせる楽曲です。
6. ぐでたま行進曲: Netflixシリーズ『ぐでたま～母をたずねてどんくらい～』の主題歌です。
7. 夜の訪問者: 浅川マキの楽曲の世界観をイメージして桑田佳祐が制作した楽曲です。
8. ヤバいね愛てえ奴は: 先行配信された3作目の配信シングルです。
9. 鎌倉 On The Beach: ユニクロCMソングとして話題を呼んだ楽曲で、歌詞には鎌倉市にある鶴岡八幡宮が登場します。
10. 初恋のメロディ: エルトン・ジョンの作風を意識して制作された楽曲です。

評価と影響

原由子は、本作について「次の世代にも音楽の素晴らしさが伝わりますように、そして自由に音楽を聴ける平和な世の中が続くことを願いながら、このアルバムをお届けします」とコメントしています。桑田佳祐は「代理・サザンオールスターズのニューアルバムだと思っていただいきたい」と述べています。

『婦人の肖像 (Portrait of a Lady)』は、原由子の新たな魅力を引き出すとともに、音楽の力で人々に希望を与える作品として、高く評価されています。

もう一度検索