媄子内親王

媄子内親王の生涯

媄子内親王（びしないしんのう）は、平安時代中期の日本に生きた内親王で、一条天皇の第二皇女であります。彼女の母は皇后・藤原定子で、兄姉に当たる脩子内親王と敦康親王がいます。彼女の短い生涯は、母親の早逝や様々な困難に満ちたものでした。

媄子内親王は、長保2年（1001年）に誕生した翌日、母・藤原定子が亡くなるという不幸な状況に見舞われます。その後、彼女は藤原詮子（東三条院）に養女として迎えられ、姉兄と共に育てられました。藤原定子の妹である詮子は、彼女にとって新たな母代わりだったことでしょう。

彼女の内親王宣下は、長保3年（1001年）の年末以前に行われました。長保4年（1002年）には元旦に戴餅（だいもち）を行い、同年の6月27日には魚味始（うおあじはじめ）を執り行いました。さらに12月27日には、正装として著袴（ちょこ）を身に着ける儀式もありました。

しかし、彼女の人生は楽なものではありませんでした。長保5年（1003年）8月2日には、自身の鼻の中に双六の賽子が入ってしまう事故が起こります。この異常事態に際し、天皇の命により大僧都の慶円が加持を施し、無事に取り出されました。幼い内親王の健康が脅かされた瞬間でした。

清水寺を参詣したのは、寛弘5年（1008年）の1月16日のことです。その4月には、病気によって人事不省に陥るものの、文慶阿闍梨（あじゃり）の修法により一時は回復を見せます。この時、喜んだ一条天皇は彼を権律師に任命したとされています。しかし、5月25日には再び容態が悪化し、数え年で9歳という若さでその生涯を閉じました。彼女が亡くなった際の在所は、信濃守の藤原佐光が住む郁芳門宅だったと言われています。

媄子内親王の死には、周囲の人々が深く悲しむ様子が『栄花物語』に描かれています。この物語には、一条天皇がその悲哀にくれる様子や、愛する妹を失った脩子内親王がその想いに苦しむ場面が綴られています。

内親王は、短い人生ながらも兄姉との深い絆や、貴族社会の中での役割を果たしました。彼女の生涯は時代の悲しみや家族愛を物語る重要な一ページとして、今に伝えられています。

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