孔食

孔食（こうしょく）について

孔食は金属の局部腐食の一形態であり、特に注意が必要です。この現象は、金属表面に小さな孔が形成され、そこから腐食が進行していくことを意味します。孔食は視覚的には問題がないように見えても、実際には構造に深刻な影響を及ぼす可能性があるため、そのメカニズムと影響を理解することが重要です。

メカニズム

孔食の発生にはいくつかの条件が整っています。まず、耐腐食コーティング膜の傷や金属内部に残る不要物、さらには金属表面に付着したハロゲンやチオ硫酸塩などが腐食を促進します。これらの要因により、金属の一部が局所的に腐食されやすくなるのです。

腐食が始まると、陽極と陰極が形成され、その局部電池によって腐食は進行します。具体的には、腐食が発生する部分が陽極（アノード）となり、他の部分が陰極（カソード）として機能します。陽極での反応により、孔の中の酸素が消費され、酸性環境が生まれることでさらなる活性溶解が進んでいきます。これが孔食の加速につながり、時には大規模な構造物の破損を引き起こすこともあります。

事故の事例

孔食は往々にして見過ごされることがありますが、その危険性は高いです。ペンキなどのコーティングで一見問題がないように思えるものの、内部では腐食が進行し、これは支柱を貫通し応力腐食割れを引き起こすおそれがあります。

歴史的な事故として、1967年に発生したシルバーブリッジの崩壊があります。この事故は孔食から応力腐食割れへと進展した結果であり、多くの人命を奪いました。近代以前の火器においても、硫黄による孔食が多発し、銃身の破損を防ぐためには頻繁にメンテナンスが求められました。近代では、クロムメッキが導入され、耐腐食性が大幅に向上しています。

規格と評価

孔食に関する評価にはいくつかの規格があります。例えば、

• - ISO 11463: 金属及び合金の腐食 - 孔食の評価
• - JIS H 8679-1: アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜に発生した孔食の評価方法－第1部：チャート法
• - JIS H 8679-2: アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜に発生した孔食の評価方法－第2部：グリッド法
• - JIS G 0577: ステンレス鋼の孔食電位測定方法
• - JIS G 0590: ステンレス鋼の臨界孔食温度測定方法

これらの規格は、孔食の評価や予防に役立つ基準を提供しています。孔食の特性を理解し、適切な対策を講じることが、長期的な金属構造物の安定性を確保するために不可欠です。

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