学校博物館

学校博物館：教育と地域をつなぐ学びの場

学校博物館とは、学校の空き教室などを活用して、教育資料や地域の歴史・文化に関する資料を展示・公開する施設です。近年、その存在感が増しており、茨城県や札幌市を始め、多くの学校で活発な活動が行われています。私立学校にも設置されている例があり、その活動内容は多岐に渡ります。

展示室から発展した学校博物館

学校博物館のルーツは、学校の展示室にあります。千葉県柏市の風早北部小学校や札幌市の学校博物館などは、その好例です。これらの博物館では、美術作品、考古学遺物、民族資料など、通常の博物館と同様の幅広いコレクションを展示し、教育活動に役立てています。福岡県立朝倉高等学校なども同様の取り組みを行っています。

ただし、大学に設置される博物館とは明確な違いがあります。大学博物館は研究施設としての機能や博物館実習の場としての役割を担っており、職員数や設備面で学校博物館とは規模が大きく異なります。

学校美術館：期間限定の芸術空間

学校施設を一定期間、美術館として活用する「学校美術館」という形態も存在します。杉並区立和泉中学校で行われている『IZUMIWAKU project』がその代表例で、地元の芸術家が作品を展示し、地域住民との交流を深める場として機能しています。この形態は、学校博物館の一つの進化系と言えるでしょう。

サテライト型博物館：連携による広がり

既存の博物館が、学校の空き教室を活用してサテライト施設を設置する「サテライト型博物館」も注目されています。茨城県自然博物館スクールミュージアムがその代表例です。インターネットやテレビ電話などを活用することで、本館との連携を強化し、より広範囲にわたる教育活動を展開しています。2007年には、滋賀県立琵琶湖博物館の収蔵品を活用したサテライト博物館が滋賀県湖北町（現・長浜市）の朝日小学校に開館するなど、地域貢献の面でも大きな役割を果たしています。

海外の学校博物館

日本だけでなく、海外にも教育資料の研究・展示を行う学校博物館が存在します。ブルガリアなどでも、地域社会との連携を深める取り組みが行われています。

学校博物館の意義と展望

学校博物館は、学校教育の充実、地域社会との連携強化、文化遺産の保存・継承など、多様な役割を担っています。学校という身近な場所で、地域の歴史や文化に触れる機会を提供することで、子どもたちの学習意欲を高め、地域住民の文化的な生活を豊かにする上で重要な役割を果たしています。

今後、ICT技術の活用や、他施設との連携強化など、学校博物館のあり方はさらに多様化していくと考えられます。学校博物館が、地域社会の中核的な教育・文化施設として、ますます発展していくことが期待されます。

関連文献

桐原総一著『学校博物館百景―展示が語る過去・現在・未来 風早北部小学校』崙書房出版、2003年9月
奥田環 著「学校博物館の源流--東京女子高等師範学校附属小学校の『児童博物館』」『博物館学雑誌』第31巻第2号、全日本博物館学会、2006年4月20日

関連事項

博物館
大学博物館
学芸員
博物館法
空き教室
社会教育法
茨城県自然博物館スクールミュージアム
朝倉高等学校博物館
* 慶應義塾幼稚舎サイエンスミュージアム

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