宇加地新八

宇加地新八（うかち しんぱち）は、弘化5年（1848年）に生まれ、没年は不明とされている幕末期の米沢藩士です。彼は、上杉家の墓所を守る御堂御給士という家柄でした。18歳で戊辰戦争に際し奥羽越列藩同盟の一員として戦いますが、官軍に敗北します。この敗戦は、彼にとって大きな転換点となりました。

先祖代々仕えてきた米沢藩の敗北を目の当たりにした宇加地は、これまでの旧態依然としたやり方では、これからの時代を生き抜いていくことはできないと痛感しました。その結果、彼は新しい時代に対応するため、西洋の知識を積極的に学ぶことを決意します。

明治4年（1871年）、22歳の時に宇加地は上京し、慶應義塾に入学します。ここで彼は、西洋の思想や学問を深く学びました。慶應義塾を卒業後、彼は自由民権運動に身を投じ、明治6年（1873年）、25歳の時に明治新政府に対し、非常に進歩的な憲法草案を建白しました。

この憲法草案は、日本における最初の憲法草案の一つとされています。内容は、議会設立を訴える点で他の建白書と共通していますが、宇加地の建白の特筆すべき点は、所謂『立憲君主制』を採用し、憲法の制定を強く主張したことです。さらに、議会の仕組みについても詳細に記述していました。

特筆すべきは、彼の憲法草案には、主権在民の思想が色濃く反映されていたことです。さらに、当時としては非常に革新的だった男女同権の選挙権を主張していました。これは、当時の欧米諸国でもまだ導入されていなかった概念であり、宇加地の先進的な思想がうかがえます。

彼の著書には、『建言議院創立之議』（1873年）があります。これは、彼が建白した憲法草案の内容を詳細に記述したものであり、彼の思想を知る上で重要な資料となっています。

宇加地新八は、日本の憲政史における先駆者の一人として、その名を刻むべき人物と言えるでしょう。彼の進歩的な思想は、当時の日本社会に大きな影響を与え、後の日本の憲法制定に少なからず貢献したと考えられています。

参考文献
米沢市公式ホームページ～豊かさとやすらぎ 共に創りあげる
『慶應義塾入社帳 第1巻』福澤諭吉研究センター(編)、慶應義塾、1986年

放送番組
* NHKスペシャル 明治

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