宇宙へ 〜冷戦と二人の天才〜

宇宙へ ～冷戦と二人の天才～

『宇宙へ ～冷戦と二人の天才～』は、2005年にBBC、チャンネルワン・ロシア、ナショナルジオグラフィックチャンネル、NDRの共同制作で放送されたドキュメンタリードラマです。全4回、各60分で構成されており、冷戦下のアメリカとソ連の宇宙開発競争を、それぞれの中心人物であるヴェルナー・フォン・ブラウンとセルゲイ・コロリョフの視点から描いています。

作品概要

このドラマは、単なる宇宙開発の歴史を紹介するだけでなく、当時の国際情勢や両国の政治的思惑、技術開発の舞台裏を詳細に描いています。フォン・ブラウンとコロリョフという二人の天才科学者の人物像に焦点を当て、彼らの業績だけでなく、それぞれの苦悩や葛藤、人間関係をも描き出しているのが特徴です。また、当時の映像や資料を豊富に使用し、冷戦下のアメリカとソ連の状況をリアルに再現しています。

番組内では、ロケットや人工衛星の原理、宇宙開発に関する専門的な内容も分かりやすく解説されており、専門知識がない視聴者でもストーリーを十分に楽しむことができます。宇宙開発の歴史に興味がある方だけでなく、冷戦史や科学技術史に興味がある方にもおすすめできる作品です。

ストーリー

第1回 「ロケット開発」
第二次世界大戦末期、アメリカとソ連はドイツのロケット技術に着目し、V2ロケットの開発責任者であったヴェルナー・フォン・ブラウンを追います。フォン・ブラウンはアメリカ軍に投降し、アメリカでロケット開発を始めることになります。一方、ソ連はセルゲイ・コロリョフを強制労働収容所から釈放し、ロケット開発を命じます。

第2回 「衛星開発」
アメリカで不遇をかこつフォン・ブラウンは、マスコミを使ってアメリカ国民に訴えかけ、人工衛星開発の許可を得ます。一方、ソ連では、コロリョフが人工衛星開発の許可をフルシチョフ第一書記に求めます。しかし、コロリョフはロケットエンジン開発で苦戦し、責任者から外されそうになります。

第3回 「有人宇宙飛行」
アメリカとソ連で、人類初の宇宙飛行士の選定が進む中、フォン・ブラウンとコロリョフは動物実験を繰り返していました。アメリカは慎重に事を進める一方、ソ連ではコロリョフが成功の確証がないまま、ユーリ・ガガーリンを宇宙へ送り出します。

第4回 「月面着陸」
月面着陸計画実現に向けて、コロリョフはかつての告発者であるグルシュコとの関係修復を試みますが、果たせないまま死去します。その後を継いだミシンは重責に耐えられず、ソ連の宇宙開発は停滞します。一方、フォン・ブラウンは着実に月面到達計画を進めていきます。

主な登場人物

セルゲイ・コロリョフ: ソ連の宇宙開発を主導した科学者。強制労働収容所から釈放後、ロケット開発を任される。その功績から、死ぬまで「同志チーフデザイナー君」と呼ばれました。
ヴェルナー・フォン・ブラウン: アメリカの宇宙開発を主導した科学者。ナチスに協力した過去を持つが、アメリカでロケット開発に尽力しました。
ヴァレンティン・グルシュコ: ソ連のロケットエンジン開発の第一人者。スターリン時代にコロリョフを告発したが、後にコロリョフの復権に協力しました。
ヴァシーリー・ミシン: コロリョフの副官。コロリョフの死後、責任者となるが、重圧に耐えられず、ソ連の宇宙開発を停滞させました。

スタッフ

製作総指揮: ジル・フラートン・スミス
脚本: クリストファー・スペンサー
演出: マーク・エベレスト
シリーズ制作: デボラ・カベトリー
撮影: エリック・マディソン
音楽: サミュエル・シム、タイ・アンウィン
日本語版制作・監修: 渡辺勝巳（宇宙航空研究開発機構）

日本での放送

日本では、NHK総合で2006年3月18日から26日にかけて放送されました。その後、2006年8月14日から17日にかけて再放送され、2006年10月27日にはDVDが発売されました。

関連情報

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