宇宙戦艦ヤマト 黎明篇

宇宙戦艦ヤマト 黎明篇：新たな冒険の幕開け

2021年より刊行が開始された『宇宙戦艦ヤマト 黎明篇』は、長きにわたって愛され続ける『宇宙戦艦ヤマトシリーズ』において、初の完全オリジナルストーリーとして注目を集める小説作品です。これまで多くのスピンオフ作品が発表されてきましたが、本作はシリーズ全体の正史に位置づけられる完全新作という点で、シリーズファンのみならず、新たな読者をも魅了する、重要な作品となっています。

作品の起源と書籍化

『黎明篇』は当初、公式ファンクラブ「ヤマトクルー」の会報誌『ヤマトマガジン』にて連載されました。そのタイトルは『アクエリアス・アルゴリズム 宇宙戦艦ヤマト復活篇 第0部』で、2019年11月から2020年11月まで計5号にわたって掲載されました。書籍化に際しては、連載時の内容を一部改稿の上、新たなタイトル『宇宙戦艦ヤマト 黎明篇』で刊行されました。

『復活篇』への橋渡し

この作品は、『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』の前日譚として位置付けられています。従来作品『宇宙戦艦ヤマト 完結編』と『復活篇』の間に存在していた物語上の空白を埋める役割を担っており、両作品の世界観とキャラクターを繋ぐ重要なミッシングリンクとして機能しています。

三部作の構成

『黎明篇』は、全3部作からなる物語の第1部「アクエリアス・アルゴリズム」です。2024年現在では、第2部「マリグナント・メモリー」も刊行されています。それぞれの部に異なる作家が起用され、物語は多角的な視点で展開していきます。

ストーリー概要

第1部 アクエリアス・アルゴリズム

舞台は西暦2215年。「アクエリアス事変」から12年が経過し、地球は平穏を取り戻していました。しかし、突如、アクエリアス氷球内にヤマトらしき反応が確認されます。調査に向かった古代進たちは、ディンギル帝国の残党軍の陰謀に遭遇します。ヤマトの残骸と沖田十三艦長の遺体と対面した古代進たちは、氷華という破氷船の助けを借りてヤマトへとたどり着き、地球を救うべく奮闘します。事件後、古代進は軍を退役し、「銀河難民救助隊」を設立します。一方、真田志郎はヤマトの再建を決意します。

第2部 マリグナント・メモリー

西暦2217年。ヤマトの再建計画が進む中、地球に巨大な移動性ブラックホールが接近します。一方、銀河難民救助隊は、ガルマン・ガミラス帝国のダゴン将軍の影が潜む事件に巻き込まれます。ボラー連邦を襲う惑星破壊ミサイル、そして第二次銀河系大戦の危機。古代進は重傷を負い、ブラックホールに落下しますが、地球、ガルマン・ガミラス、ボラーの三国の協力で救出されます。しかし、進は意識不明となり、そのことは機密事項となります。進の娘、美雪はAIで作られた偽物の進と対面し、父への不信感を抱きます。さらに、黒幕の存在が明らかとなり、その陰謀は宇宙規模に及ぶことが示唆されます。

登場人物

本作には、『完結編』以前からのキャラクター、そして『復活篇』からのキャラクター、そして本作オリジナルキャラクターが登場します。おなじみの古代進、雪、真田に加え、大村耕作、折原真帆といった『復活篇』からのキャラクターも重要な役割を担っています。さらに、個性豊かなオリジナルキャラクターが物語に深みを与えています。

メカニックと舞台設定

宇宙戦艦ヤマトを始め、氷華、オリオンといった様々な艦船が登場します。さらに、コスモタイガーIII、ムサシといった本作オリジナルメカニックも魅力的です。舞台は地球、アクエリアス氷球、ボラー連邦領など多岐に渡り、広大な宇宙空間を舞台にした物語が展開されます。

製作体制とチーム

『黎明篇』は、将来的な『復活篇』の続編制作を見据えて企画された作品です。作家高島雄哉氏を筆頭に、岡秀樹氏、さたびー/塙龍之氏、扶桑かつみ氏、西川伸司氏ら、ベテランスタッフとヤマトシリーズの熱烈なファンであるアマチュアスタッフが結集した「アステロイド6」というチームによって制作されました。

まとめ

『宇宙戦艦ヤマト 黎明篇』は、『復活篇』への橋渡しとなるだけでなく、新たなキャラクター、メカニック、そして物語によって、ヤマトシリーズに新たな魅力を吹き込む作品です。シリーズファンはもちろん、初めてヤマトに触れる読者にも、その魅力は十分に伝わるでしょう。今後のシリーズ展開にも期待が高まる一冊です。

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