安全保障技術研究推進制度

安全保障技術研究推進制度

安全保障技術研究推進制度、一般には防衛省ファンディングとして知られるこの制度は、2015年にスタートした競争的研究費プログラムです。主な目的は、防衛分野における未来の研究開発を促進することにあります。この制度は、毎年約100億円の予算が確保され、先進的な基礎研究の発掘と育成を目的としています。

懸念と応募状況の変化

制度が始まった初期、特に2017年4月には、日本学術会議が「軍事的安全保障研究に関する声明」を発表し、この制度に対して懸念を示しました。これにより、大学などの高等教育機関からの応募は限られていました。学術界からの恐れが影響を与えていたため、当時は応募件数が少数にとどまる状況でした。しかし、2022年7月に日本学術会議は「軍民「両用」技術の研究を認める」とする方針を示したおかげで、学術機関からの応募の活発化が見られるようになりました。

応募の増加

2025年には、応募件数が過去最高の240件に達しました。内訳を見ると、大学関連機関からは123件の応募があり、民間企業や公益社団法人からは134件、さらに83件が公的研究機関からの応募でした。このデータを見ると、大学等からの応募件数は制度発足当初の約10件から急激に増加していることがわかります。特に、2023年には23件、2024年には44件という急成長を見せています。この背景には、科学技術のデュアルユース、つまり軍事と民生の両方に利用可能な技術への理解が深まってきたことが指摘されています。これにより、より多くの研究者がこの制度に参加し、研究の広がりが期待されています。

研究費補助の動向

当初、この制度は防衛装備庁からの委託研究の形式で行われていましたが、2025年度の募集からは新たな動きが見られることになりました。具体的には、予算の一部、約10億円程度が研究者の自主研究をサポートするための補助事業として設定されることになりました。これは、研究者が自らのアイデアを基にした研究を推進できることを意味しており、研究環境の自由度が増すことが期待されています。

この制度は、安全保障に関わる先進的な研究を支援する重要な機会を提供し、大学や研究機関、産業界の連携を促進する役割を果たしています。

もう一度検索