安孫子充裕

安孫子 充裕

安孫子 充裕（あびこ みつひろ）は、1988年10月25日に山形県山形市で生まれた、日本の元陸上競技選手である。専門は短距離走で、100メートル、200メートル、400メートルといったスプリント種目を中心に競技人生を歩んだ。

安孫子氏が陸上競技に本格的に取り組み始めたのは、山形市立第三中学校に入学したときからである。中学時代から頭角を現し、その後進学した山形県立上山明新館高等学校で才能を大きく開花させた。高校3年生となった2006年には、香川県丸亀市で開催された全国高等学校総合体育大会（インターハイ）の男子200メートル競走において、21秒14のタイムで並み居る強豪を抑えて優勝し、自身にとって初の全国大会制覇を成し遂げた。勢いは止まらず、同年に兵庫県で開催された国民体育大会（のじぎく兵庫国体）の少年A競技400メートル競走でも優勝を果たし、高校最後の年に全国二冠を達成するという輝かしい成績を残した。さらに国際舞台においても、同年のアジア・ジュニア選手権の400メートル競走に出場し、銅メダルを獲得するなど、高校時代から国内外で注目される存在となった。

高校卒業後は、多くのトップアスリートを輩出している筑波大学へ進学し、さらなる飛躍を目指した。大学2年生となった2008年には、中国・北京で開催された第29回オリンピック競技大会の日本代表に選出される快挙を達成した。北京オリンピックでは、男子4×400メートルリレーのメンバーとして世界の舞台に立ち、貴重な経験を積んだ。大学3年生の2009年には、関東学生陸上競技対校選手権大会（関東インカレ）に出場し、驚異的なパフォーマンスを見せた。この大会で、彼は男子100メートル競走を10秒30で、男子200メートル競走を20秒68で制しただけでなく、アンカーを務めた4×400メートルリレーでもチームを優勝に導いた。これにより、100メートル、200メートル、4×400メートルリレーというスプリント種目での三冠という偉業を達成し、当時の学生陸上界におけるトップ選手としての地位を不動のものとした。

大学卒業後も競技を続け、実業団チームであるミズノ株式会社に入社した。プロアスリートとして活動した期間を経て、その後は地元の山形に戻り、山形TFCで競技を続けた。現役キャリアの晩年は、故郷山形に貢献する道を選び、山形市の市役所職員として働きながら競技を続行していた。

長年にわたり陸上競技に情熱を注いできた安孫子氏だが、2018年に競技者としての節目を迎えることとなった。同年開催された山形県陸上競技選手権大会に出場したが、残念ながら予選で敗退。この大会を最後に、現役を引退することを決断した。引退後も、これまでの経験を生かして陸上競技の普及や後進の指導に関わっている可能性も考えられるが、選手としては2018年をもって一線を退いた。

選手生活における主な成績は以下の通りである。

2006年 全国高等学校総合体育大会（インターハイ） 男子200m 優勝 (21秒14)
2006年 全国高等学校総合体育大会（インターハイ） 男子100m 第5位 (10秒67)
2009年 関東学生陸上競技対校選手権大会（関東インカレ） 男子100m 優勝 (10秒30)
2009年 関東学生陸上競技対校選手権大会（関東インカレ） 男子200m 優勝 (20秒68)

安孫子充裕氏は、高校・大学時代に全国レベル、国際レベルで輝かしい成績を残し、特に北京オリンピック出場や関東インカレ3冠は、その競技力の高さを証明するものである。引退後も、様々な形で社会に貢献していることだろう。

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