安斎かなえ

安斎かなえ（あんざい かなえ）は、1971年2月14日に生まれた、福島県出身の日本の女性漫画家です。彼女のキャリアは、一般的な漫画家とは少し異なるユニークな歩みを辿っています。

経歴と人物

三姉妹の末っ子として育った安斎かなえは、姉たちと同様に看護師の道を選び、医療現場で勤務していました。しかし、22歳の時に転機が訪れます。4コマ漫画家としてデビューを果たし、看護師としての仕事と並行して漫画を描く生活が始まりました。この兼業期間を経て、25歳で看護師の職を離れ、漫画家としての活動に専念するようになります。

同時期、25歳で7歳年上の男性と結婚。その夫は農業を営んでおり、安斎かなえはいわゆる「農家のヨメ」としての生活を送ることになりました。2014年時点では、引き続き福島県に在住していることが確認されています。

私生活におけるエピソードも、彼女の作品に影響を与えています。特に、夫とは2006年頃（35歳頃）に一度別居を経験しましたが、3年後には復縁しています。この波乱の時期については、自身のエッセイコミック『別居したら夫を好きになれました』（竹書房）で詳細に描かれており、読者からの反響を呼びました。この作品は、夫婦関係における率直な葛藤と向き合い、乗り越える過程をユーモラスに描いたものとして知られています。

また、猫を飼っており、その愛らしい姿やエピソードも漫画作品の中でしばしば描かれています。自身の健康や身体に関しても、レーシック手術を受けた経験があり、それが病院の広告に登場するきっかけともなりました。

メディアへの露出もあり、特に実話系漫画誌「本当にあった愉快な話」（竹書房）では、時に顔出しで登場することもあります。2012年9月7日には、NHK総合テレビジョンのトークバラエティ番組「ドラクロワ」に夫婦揃って出演し、その個性的なキャラクターとお互いの関係性が注目を集めました。

作風と活動

2016年現在、安斎かなえは竹書房や芳文社といった出版社の雑誌を中心に活動しており、特に医療関係の話題を扱った実話系4コマ漫画誌では看板作家の一人として活躍しています。長年の看護師経験に裏打ちされた医療現場の知識や実情を基にした作品は、リアリティがありながらも、ユーモアを交えた視点で描かれるのが特徴です。

読者から寄せられた体験談を漫画化する際にも、彼女ならではの手法が見られます。作中に自身を登場させ、投稿者の紹介を行ったり、元看護師としての専門的な視点や現場経験者ならではの感覚を活かした解説やツッコミを入れることで、作品に深みと親近感を与えています。「本当にあった愉快な話」においては、他の雑誌での4コマ形式とは異なり、リレー式の短編漫画というスタイルで作品を発表するなど、媒体によって表現方法を使い分けています。

主な著作

これまでに多数の単行本を発表しており、自身の経験や得意分野を活かした作品が多いです。

『松子が行く』
『まるっと病院パラダイス』
『別居したら夫を好きになれました』
『病院でぼくらはみんな病んでいる。』シリーズ（『病院でぼくらはみんな殺される!?』『病院でぼくらはみんな死にかけた!!』『病院なのにぼくらはみんな笑ってる。』など）
『女の曲がりカド プレ更年期がやって来た!!』
『命を狙われる体験をしたので言わせて下さい。』
『ニャ生の王国』（猫との日常を描いた作品）
『通院するたびに寿命を削られてます。』

近年では、流光七奈氏との共著による『あの世の社会科見学』シリーズや、竹書房文庫刊の原作を元にした『屍役所〜公務員を襲う怪異〜』など、医療以外の分野にも活動の幅を広げています。元看護師という異色の経歴と、実生活に基づいたユーモアあふれる視点で、幅広い読者から支持を得ている漫画家です。

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