安田侃

安田侃：国際的に活躍する彫刻家

安田侃（やすだ かん）は、1945年、北海道美唄市に生まれました。炭鉱で栄えた街で育った安田は、1969年に東京芸術大学大学院彫刻科を修了後、類まれな才能を見出され、1970年にはイタリア政府の招聘を受け、国費留学生としてイタリアへ渡ります。ローマ・アカデミア美術学校で研鑽を積み、その後、白大理石の産地として知られるフィレンツェ郊外のピエトラサンタにアトリエを構え、現在も創作活動の拠点を置いています。

大理石とブロンズの詩情

安田の作品は、大理石やブロンズを素材とした彫刻が中心です。その多くは、穏やかな曲線と重厚感のある形態を特徴としており、見る者に静謐で深い感動を与えます。彼の作品は、単なるオブジェではなく、自然と人間の精神世界を繋ぐ、詩情豊かな表現と言えます。野外彫刻作品は特に有名で、北海道のみならず、東京、酒田市、そしてイタリアのミラノやフィレンツェ、さらにオーストラリアやイギリスなど、世界各地に設置されています。

札幌のシンボル「妙夢」

安田侃の作品の中でも、特に有名なのが札幌駅コンコースにある「妙夢」です。多くの札幌市民にとって待ち合わせ場所として親しまれており、札幌のランドマーク的な存在となっています。この作品は、安田の彫刻の特徴である滑らかな曲線と、見る者の心を静かに満たすような佇まいが印象的です。

故郷美唄への貢献「アルテピアッツァ美唄」

安田は、出身地である美唄市にも強い愛着を持ち、美唄市内の廃校舎を利用した野外彫刻公園「アルテピアッツァ美唄」の設立に尽力しました。閉山した炭鉱の記憶を刻むこの場所に、安田自身の作品を含む多数の彫刻が展示され、新たな文化拠点として再生されています。この公園は、安田の故郷への貢献、そして芸術を通じた地域活性化の象徴となっています。

数々の受賞歴と栄誉

安田侃の芸術的功績は高く評価されており、数々の賞を受賞しています。主な受賞歴には、1992年の芸術選奨新人賞、1994年の国際彫刻展賞（イタリア）、1995年のヴェルシリア賞、2001年のプッチーニ特別賞、2002年の井上靖文化賞と村野藤吾賞、2003年のトスカーナ州特別賞、2006年のイタリア連帯の星勲章コッメントレ章、2010年の北海道新聞文化賞、そして2013年の北海道文化賞などがあります。これらの受賞歴は、彼の作品が国内外で高い評価を得ていることを示しています。

安田侃の芸術世界

安田侃の彫刻は、単なる技術の粋を集めた作品ではありません。そこには、自然への深い敬意、そして人間の精神世界を探求する彼の揺るぎない意志が込められています。彼の作品は、見る者に静寂と安らぎを与え、同時に、人生や宇宙の深遠さを想起させます。安田侃は、これからも自身の芸術を通して、多くの人々の心に感動を与え続けることでしょう。 彼の作品は、単なる彫刻を超えた、存在そのものと言えるかもしれません。 これからも、彼の活動から目が離せません。

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