安田覚

安田 覚（やすだ さとる）は、1975年7月27日生まれ、三重県出身の日本の元陸上競技選手である。専門種目は棒高跳。

経歴

三重県立桑名西高等学校を経て、日本体育大学体育学部体育学科を卒業した。

競技人生の始まりと飛躍

中学1年次から棒高跳に取り組み始め、中学3年で全国大会に出場するも、予選を突破することはできなかった。高校に進学してからも全国の舞台で結果を残すには時間を要し、1年時の石川国体では入賞圏外、2年時の宮崎インターハイでは決勝に進出したものの16位にとどまった。しかし、高校3年になると飛躍的な成長を遂げ、宇都宮インターハイで自身初の全国タイトルを獲得。秋の東四国国体でも優勝し、同世代の選手には無敗を誇る強さを見せた。

大学時代と試練

日本体育大学に進学後もその実力は健在で、1年次に関東インカレで2位、全日本インカレで6位に入賞。さらに、秋の日本ジュニア選手権では優勝を果たした。しかし、大学2年次には怪我の影響で十分な成績を残せず、3年次にはスランプに陥り、自己記録の更新に苦慮する時期が続いた。それでも諦めずに練習に取り組み、4年次には5m40の自己記録をマークし、国内トップレベルの棒高跳選手としての地位を確立した。

社会人としての活躍と困難

大学卒業後も競技を続行。2000年の日本選手権では準優勝という結果を残したが、この大会の試技中に発生した不慮の重傷事故に見舞われ、選手生命の危機に瀕する。この困難を乗り越え、驚異的な回復力と精神力で競技の舞台に戻ってきた安田選手は、2002年の日本選手権でついに初優勝を飾る。同年の釜山アジア大会では日本代表に選出され、見事銀メダルを獲得し、国内外でその存在感を示した。その後も活躍を続け、2005年の日本選手権では、当時日本の棒高跳界を牽引していた澤野大地選手らを抑えて再び優勝を果たした。2007年の秋田わか杉国体をもって現役生活を引退した。

指導者として

安田氏は現役アスリートとして活動しながら、三重県立高校の教員としても教鞭を執っていた。現役引退後は、その豊富な経験と技術を活かし、後進の育成に専念することとなった。現在は、自身の母校である三重県立桑名西高等学校にて、未来の棒高跳選手たちの指導にあたっている。

安田覚氏の競技人生は、若年期からの努力、度重なる困難（怪我、スランプ、そして選手生命を脅かす大事故）、そしてそれらを乗り越えて掴んだ栄光に彩られている。その不屈の精神と、引退後も競技の普及と発展に尽力する姿勢は、多くの人々に影響を与えている。

関連項目

* 日本陸上競技選手権大会の記録一覧

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