安藤実

安藤実（あんどう みのる）氏は、1934年に北海道旭川市で生まれ、日本の経済学、財政学の分野で多大な貢献をされた学者です。早稲田大学第一政治経済学部を卒業後、法政大学大学院で経済学の研究を深め、博士課程を修了されました。

研究者としてのキャリアは、1966年に静岡大学人文学部の講師としてスタートし、その後教授に昇進。1983年には、ベルリン経済大学（ドイツ民主共和国）に客員教員として派遣されるなど、国際的な視点も持ち合わせていました。1994年には静岡大学人文学部長に就任し、教育・研究の両面で大学運営に貢献されました。1997年に静岡大学を定年退官された後も、札幌学院大学や名古屋学院大学で教鞭を執り、後進の育成に尽力されました。

安藤氏の研究領域は幅広く、初期には満鉄や中国における日本の財政投資に関する研究に取り組みました。その後、税制改革、消費税、そして富裕者課税といった現代社会における重要な課題にも焦点を当て、その研究成果は数多くの著書として発表されています。

主な著書には、初期の研究成果である『満鉄－日本帝国主義と中国』や『日本の対華財政投資―漢冶萍公司借款』などがあります。また、税制改革に関する研究では、『いま税制改革を考える』、『シミュレーション税制改革』、『消費税の研究』といった著作があり、日本の財政政策に多大な影響を与えました。さらに、『日本財政の研究』では、日本の財政構造について深く掘り下げています。晩年には、『富裕者課税論』を編著し、現代社会における経済格差の問題にも鋭い視点を向けています。

翻訳書としては、第一次世界大戦中のベルリンを描いた『ベルリン嵐の日々 1914-1918』があります。これは、安藤氏の幅広い学問的関心を示すものと言えるでしょう。

これらの業績が評価され、2012年11月には瑞宝中綬章を受章されました。これは、安藤氏の長年にわたる教育・研究活動が、社会的に高く評価された証と言えるでしょう。

安藤実氏は、経済学者、財政学者として、日本の学術界に大きな足跡を残されました。その研究は、現代社会の課題を理解し、より良い社会を築く上で、重要な指針となるでしょう。

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