安西勝一

安西勝一七段：順位戦の苦悩とその他の棋戦での活躍、そして棋士人生

安西勝一七段は、1963年7月2日、東京都板橋区生まれの将棋棋士です。佐瀬勇次名誉九段を師事し、1985年12月18日、奨励会例会において、羽生善治氏と同日にプロ入りを果たしました。棋士番号は174番です。

順位戦と安西七段の長く険しい道のり

プロ入り後、安西七段は順位戦において苦戦を強いられました。特にC級2組には19期も在籍し、昇級争いに最後まで残ったのは第50期（1991年度）のみという厳しい結果でした。そして、第63期（2004年度）には降級点の累積が3点に達し、規定によりフリークラスに降級、順位戦への参加資格を失ってしまいます。その後、10年以内の順位戦復帰は叶わず、2016年4月1日、第65期王将戦一次予選で石井健太郎氏に敗れたのを最後に現役を引退しました。

順位戦以外の棋戦での活躍

順位戦での苦戦とは対照的に、安西七段は順位戦以外の棋戦では安定した成績を残しました。特に印象的なのは、第32期王位戦（1990年度）での活躍です。予選を勝ち上がり挑戦者決定リーグの白組に出場。3回戦終了時点でリーグ陥落が確定していたにもかかわらず、最終戦でそれまで4戦全勝だった郷田真隆氏に勝利。郷田氏のリーグ全勝を阻止し、中田宏樹氏とのプレーオフに持ち込むと同時に、自身はリーグ全敗を免れました。この劇的な勝利は、安西七段の勝負強さを象徴するエピソードと言えるでしょう。

安西流：振り飛車と相振り飛車の妙技

安西七段の棋風は振り飛車党として知られていますが、居飛車も自在に操る実力者でした。特に、振り飛車を得意とする女流棋士相手には相振り飛車を多用し、多くの好成績を残しました。柔軟な対応力と、相手の特性を見抜く洞察力が光る棋風と言えるでしょう。

将棋ファンから愛された「安西先生」

安西七段は、将棋ファンから「安西先生」と呼ばれ親しまれていました。兄弟子の高橋道雄九段とは特に仲が良く、引退間際まで練習将棋を積んだというエピソードが、高橋氏のブログにも記されています。このエピソードからも、安西七段の人柄と棋界での良好な人間関係が窺えます。

安西勝一七段の昇段履歴と主な成績

安西七段の昇段履歴は以下の通りです。

1978年10月：奨励会入会（6級）
1981年：初段
1983年1月：三段
1985年12月18日：四段（プロ入り）
1991年5月28日：五段（勝数規定）
2000年3月14日：六段（勝数規定）
2015年4月1日：引退
2016年4月1日：七段（引退棋士規定）

具体的な成績については、ここでは割愛しますが、順位戦以外の棋戦において、多くの実績を残したことは間違いありません。

著書

安西七段は『振り飛車党宣言2』（共著、2003年8月、毎日コミュニケーションズ）を著しています。この著書からも、安西七段の振り飛車への深い愛情と理解が伝わってきます。

結論：長く険しい棋士人生

安西勝一七段の棋士人生は、順位戦での苦悩と、その他の棋戦での活躍という、対照的な側面が共存していました。しかし、そのどちらの側面も、安西七段の棋士としての真摯な姿勢と、揺るぎない将棋への情熱を物語っています。「安西先生」として将棋界に貢献した安西七段の功績は、これからも多くの人に記憶されることでしょう。

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