安間繁樹

安間繁樹（やすま しげき）は、1944年生まれの日本の動物生態学者で、農学博士の学位を有しています。世界自然保護連合種保存委員会（IUCN・SSC）ネコ専門家グループの委員や、熱帯野鼠対策委員会の常任委員を務めるなど、国際的な活動にも携わっています。また、公益法人平岡環境科学研究所の監事や日本山岳会の会員としても活躍しています。

生い立ちと研究

中国・内モンゴル自治区で生まれた安間氏は、清水東高校を卒業後、早稲田大学法学部に進学しました。その後、生物学への情熱から早稲田大学教育学部理学科生物専修課程を卒業し、東京大学大学院農学系研究科で哺乳動物生態学を専攻しました。特に琉球列島に強い関心を持ち、大学院在籍中からイリオモテヤマネコの研究調査を開始。西表島に移住し、直接観察にこだわった研究を行い、世界で初めてイリオモテヤマネコの動画撮影に成功するなど、数々の成果を挙げました。

国際協力とフィールドワーク

1985年からは国際協力機構（JICA）の専門家としてボルネオ島に赴任。インドネシアのカリマンタン、ブルネイ、マレーシアのサバで15年間居住し、動物調査と若手研究者の育成に尽力しました。安間氏の研究活動は、西表島とボルネオ島という異なる環境下で、自然と人々の営みをありのままに記録し続けるという、文字どおりのライフワークとなっています。

受賞と業績

長年の研究と貢献が認められ、市川市民文化ユネスコ賞（2004年）や秩父宮記念山岳賞（2019年）を受賞しています。

著書

安間氏は数多くの著書を執筆しており、琉球列島関係では『秘境探検 西表島踏破行』、『南島探検 西表島の沢を歩きつくす』、『西表島探検 亜熱帯の森をゆく』、『動物が 好き！　イリオモテヤマネコをとおしてみえたこと』、『イリオモテヤマネコ 狩りの行動学』、『ネイチャーツアー西表島』、『琉球列島―生物の多様性と列島のおいたち』、『西表島自然誌』、『石垣島自然誌』、『マヤランド西表島』、『野生のイリオモテヤマネコ』、『やまねこカナの冒険』、『闇の王者イリオモテヤマネコ』などがあります。

ボルネオ島関係では、『失われゆく民俗の記録』、『ボルネオ島アニマル・ウォッチングガイド』、『ボルネオ島最奥地をゆく』、『カリマンタンの動物たち』、『キナバル山　ボルネオに生きる 自然と人と』、『熱帯雨林の動物たち』などを著しています。その他にも、『ヤスマくん、立ってなさい』、『アニマル・ウォッチング』などの著書があります。

これらの著作を通じて、安間氏は自身の研究成果を広く一般に共有し、自然保護の重要性を訴えかけています。

メディア出演

安間氏はテレビ番組にも出演しており、「世界がザワついた（秘）映像 ビートたけしの知らないニュース 」や「感動地球スペシャル 中川翔子ボルネオ紀行〜熱帯ジャングルと幻の象〜」などの番組で、自身の研究や活動を紹介しています。

連載記事

また、安間氏は「熱帯の自然誌」を2016年から100回にわたり連載（『文化連情報』日本文化厚生農業協同組合連合会）し、フリーマガジン「熱帯雨林の動物たち」を2010年から96回にわたり連載（『どうぶつのくに.net』）しています。

安間繁樹は、その卓越した研究能力と情熱的な活動を通して、イリオモテヤマネコをはじめとする野生動物の保護と自然環境の保全に大きく貢献している、まさに現代を代表する動物生態学者と言えるでしょう。

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