宋思顔

宋思顔（そう しがん）は、生没年不詳の元末明初の官僚です。

生涯

宋思顔の出身地は明らかになっていません。元朝末期の混乱期、至正15年（1355年）に朱元璋が太平を攻略した際、その幕府に身を投じました。翌至正16年（1356年）、朱元璋が江南の要衝である集慶（現在の南京）を占領し、江南行中書省を設置すると、宋思顔は李善長とともにその参議という要職に抜擢されました。さらに、至正21年（1361年）に大都督府が設立されると、宋思顔は参軍事という軍事面での重要な役割も兼任することになりました。その後、河南道按察僉事として地方へ赴任しましたが、ある事件に連座し、処刑されました。

人物・逸話

宋思顔は、主君である朱元璋に対しても、臆することなく自身の意見を述べることができる人物でした。ある時、朱元璋が東閣で政務を執っていた際、暑さのために汗で衣が濡れてしまったことがありました。側近たちは、朱元璋に度々着替えを勧め、その度に洗濯をさせていました。これを見た宋思顔は、「主君たるもの、率先して節倹の模範となるべきです」と朱元璋に進言しました。この直言を朱元璋は非常に喜び、宋思顔に褒美として貨幣を賜ったとされています。

また、別の機会には、宋思顔は「以前、句容県で虎が住民に危害を加えていたため捕獲されましたが、今では民間で飼育されています。この虎は、害をなす存在であり、民間での飼育は全く益がありません」と進言しました。この進言を聞いた朱元璋は、その正しさを認め、直ちに虎を殺すように命じたと伝えられています。

これらの逸話からもわかるように、宋思顔は、主君に対してでも、正しいと思うことは臆することなく進言する、非常に大胆かつ有能な官僚であったと言えるでしょう。彼の進言は、朱元璋の政治運営に少なからず影響を与えたと考えられます。

参考文献

* 『明史』巻135 列伝第23

もう一度検索