宗教の時間

宗教の時間（しゅうきょうのじかん）

ラジオ放送、特にAMラジオ局において、主に深夜から早朝にかけての定まった時間に編成される宗教番組放送枠を指します。多くの場合、番組の尺は5分から10分程度と比較的短く、連日あるいは平日を通して同じ時刻に放送される帯番組の形式がとられることが一般的です。これらの番組は、新聞の番組表ではまとめて「宗教の時間」あるいは単に「宗教」と表記される傾向があります。また、大型のワイド番組の中に短時間組み込まれる「フロート番組」として放送されるケースも見られます。なお、FM局などで放送される30分枠の番組や、番組表で特別に「宗教の時間」と明記されない番組は、通常この範疇には含まれません。

この放送枠の起源は、1951年11月11日の開局を目指していた朝日放送（現在の朝日放送ラジオ、ABCラジオ）に遡ります。当時のABCは、「文化の向上に資する教養番組」の一環として宗教放送の導入を計画し、東本願寺、西本願寺、知恩院、カトリック教会、プロテスタント、天理教、金光教といった主要な宗教団体7つに協力を依頼しました。特に「東本願寺の時間」と「金光教の時間」は、ABCラジオが開局した1951年から長きにわたり放送が続けられました。放送局からの依頼によって始まったという経緯から、当初は無料で提供されていましたが、やがて各宗教団体が番組の制作費や放送枠の料金を負担する形態へと変化していきました。

しかしながら、近年、ラジオ聴取者の高齢化や減少が進む中で、番組維持にかかる放送料金が宗教団体の財政を圧迫するという課題が顕著になっています。このような状況から、「東本願寺の時間」が2015年9月に放送を終えた例に見られるように、ラジオ放送からの撤退（インターネット配信への切り替えを含む）や、番組をネットする放送局を大幅に縮小する宗教団体が増加傾向にあります。かつて多くのAM局で見られた「宗教の時間」枠は、縮小の一途をたどっているのが現状です。

具体的な放送例としては、2018年10月時点の情報からいくつか挙げられます。

北海道放送（HBCラジオ）では、平日早朝に「心のいこい」、土曜に「曹洞宗の時間」や「よろこびへの扉」、日曜に「天理教の時間」や「西本願寺の時間」など、複数の宗教番組が定時に編成されていました。過去には「金光教の時間」や「東本願寺の時間」なども放送されていました。
文化放送では、土曜に「あなたのそばに歎異抄」や日曜に「世の光いきいきタイム」などが放送されています。かつては「禅のこころ-曹洞宗-」や「浄土宗のラジオ『法然さまの時間』」なども見られました。
* ABCラジオでは、月曜から木曜にかけて早朝に特定の枠が設けられ、「信仰の時間」「宗教の時間」として様々な宗教団体の番組（日本福音宣教会、カトリック教会、日本ペンテコステ教団、金光教など）が放送されています。2024年秋の改編では、日曜からこの枠に移動・集約された番組もあります。また、土曜・日曜の早朝には「福音の光」も放送されています。かつては「東本願寺の時間」など、多くの番組がこの時間帯に放送されていましたが、放送終了により他の番組や通販番組に置き換わった枠も存在します。

これらの例からもわかるように、「宗教の時間」はかつて多くのAMラジオ局で教養番組の一環として重要な役割を果たしていましたが、時代の変化とともにその形態や存在感も変わりつつあります。

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