宗義功 (猪三郎)

宗義功（そう よしかつ）について

宗義功は、対馬国府中藩の第11代藩主で、その幼名は猪三郎といいます。彼は明和8年（1771年）10月4日、対馬府中において、前藩主である宗義暢の四男として誕生しました。その生涯は短く、わずか15歳で幕を閉じることとなります。

藩主としての地位と家督相続

安永7年（1778年）3月7日に父、義暢が死去した際に、宗義功は家督を継ぎましたが、その際に特異な事情がありました。通常、藩主は江戸に上り、将軍に拝謁した上で家督を受け継ぐのが慣例でした。しかし、当時、幕府との外交問題があったため、彼は在国での家督相続を認められました。このため、宗義功は一度も将軍・徳川家治に謁見することなく藩主の地位を持ち続けることとなり、結局、天明5年（1785年）7月8日に死去するまで、この状態は続きました。

替え玉の出来事

義功には実子がいなかったため、彼の死後は弟の富寿が家督を継ぐ予定でした。しかし、江戸にいる家老が幕閣との間で折衝した結果、藩主の急死時には替え玉を立てる例があることが示唆されました。これを受けて、対馬府中藩では猪三郎の死を正式に発表した後、それを誤報として訂正する必要が生じました。

結果として、家臣たちは猪三郎の死を誤発表したとし、弟の富寿を義功として、さらに弟の種寿を富寿としてそれぞれすり替えることになりました。これにより、名義上、後の藩主は義功として通されるに至ります。確かに、猪三郎は元服しておらず、実際には義功と名乗ることはありませんでしたが、替え玉となった富寿が義功と名乗ることで、猪三郎も史料においてはその名が使われるようになったのです。

個人の背景

宗義功の父である宗義暢は1741年に生まれ、1778年に亡くなりました。母は織江と呼ばれ、瑞祥院という名前でも知られています。彼女は永留藤右衛門の娘です。このように、宗義功の家系もまたその時代の藩の状況や家族同士の繋がりを深く反映していると言えるでしょう。

結論

宗義功の短い生涯とその周囲の出来事は、対馬国府中藩の歴史における重要な一端を形成しています。彼が家督を継ぐ際の特異な事情や、後に替え玉が立てられることになった経緯は、当時の政治や藩の運営に対する深い考察を与えてくれます。対馬の歴史を学ぶ上で、彼の存在は無視できない重要な要素であり、その情勢は一族にとっても大きな影響をもたらしました。

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