宗谷 (船)

宗谷（そうや）

概要

宗谷は、海上保安庁が保有する砕氷船で、巡視船としての番号はPL107です。もともとは大日本帝国海軍の特務艦でしたが、その後日本の南極観測事業を支える重要な役割を果たしました。特に、1956年から1962年にかけての南極観測船として、日本の南極探検の基礎を築いたことで知られています。現在、海上保安庁で唯一現存する保存船であり、また数少ない帝国海軍の艦船の一つでもあります。

背景

宗谷は、元々ソビエト連邦向けの耐氷構造の商船として建造されましたが、日中戦争の影響で引き渡しを決定できず、のちに日本海軍が買い上げ、艦名を宗谷に変更しました。この艦船は逃げるような足取りで日本海軍に所属し、輸送任務や測量活動を行いました。太平洋戦争後は、復員輸送を担いながら海上保安庁に移籍し、灯台補給船や海上巡視船として活動しました。

南極観測

1956年、宗谷は南極観測任務のための改修を受け、初代南極観測船としての役割を担いました。出発時、搭載していたのは観測隊とその家族、犬などで、出発の際には多くの人々が見送ってくれました。宗谷は当時、最初の氷山に遭遇し、南極地域の観測活動に成功しました。

この航海では、多くの気象データを収集し、例えば電離層の観測を船上で行うなど、科学的な成果を上げました。宗谷の活躍は、その後の南極観測活動に大きな影響を与え、様々な技術の発展にも寄与しました。

その後、宗谷は1962年まで数回にわたり南極観測を行い、それぞれの観測隊が直面する厳しい環境下で数々の困難を克服してきました。特に、船は初めて衛星を利用し、航空機を使った観測を成功させるなど、当時としては画期的な成果を収めました。

退役後

1978年、南極観測の任務を終えた宗谷は、海上保安庁の巡視船として再編成され、その後15年間にわたって活躍しました。特に、海洋監視や医療救助など、多様な任務を遂行してきました。また、宗谷が果たした役割は多くの人々に感銘を与え、「海の守り神」とも称されました。日本の歴史的な艦船として、多くの人に記憶されています。

現在、宗谷は船の科学館で静態保存され、多くの訪問者にその栄光の歴史を感じさせています。南極観測におけるその大きな功績は、今後も引き継がれていくことでしょう。

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