宝塚シネ・ピピア

宝塚シネ・ピピア：地域の宝、映画館の物語

兵庫県宝塚市にある「宝塚シネ・ピピア」は、2スクリーンを擁するミニシアターです。全国的にも珍しい公設民営方式の映画館として、地域住民に愛され、宝塚市の文化に彩りを添えています。

宝塚と映画：栄光と沈黙の時代

宝塚市はかつて、数多くの映画館を擁する「映画の街」として知られていました。1951年には阪急電鉄が宝塚映画製作所を設立し、多くの映画が製作されました。最盛期には7館もの映画館が存在し、宝塚映画劇場、宝塚大劇場など活気に満ち溢れていました。しかし、1969年頃には全ての映画館が閉館し、長らく映画館のない時代が続きました。

再び幕を開ける：市民の熱意と復興のシンボル

映画を愛する市民の熱意が、宝塚に再び映画館をもたらしました。「宝塚に映画館をつくろう会」が設立され、地道な活動が続けられました。1995年の阪神・淡路大震災で活動は一時中断されましたが、半年後には活動を再開、そして1999年、震災復興事業の一環として建設された複合施設「ピピアめふ」の中に、「宝塚シネ・ピピア」が開館しました。市民の熱意と、震災からの復興の象徴として、シネ・ピピアは誕生したのです。

デジタル化への挑戦：市民と行政の連携

2013年、大手配給会社の作品がデジタルシネマ化されたことに伴い、シネ・ピピアもデジタル上映機器の導入が必要となりました。公設民営方式であることから、市の予算確保が課題となりました。しかし、市民や映画関係者の強い要望を受け、署名活動が展開され、宝塚市はデジタル化費用を予算に計上。デジタル上映が実現しました。この出来事は、市民と行政の連携による文化施設の維持という点で、大きな意義を持っています。

多様な機能と役割：映画館を超えた存在

シネ・ピピアは、単なる映画館ではありません。50席のスクリーン2つに加え、カフェ、イベントスペース、ガーデンテラスなどを備えています。災害時には市の避難所としても活用されるなど、地域社会に密着した多様な機能を有しています。また、毎年秋には「宝塚映画祭」が開催され、映画を通じて地域を盛り上げています。大阪市西区にあるシネ・ヌーヴォは姉妹館であり、両館の連携も注目されています。

未来へつなぐ：地域文化の灯

宝塚シネ・ピピアは、単なる映画館を超えた、地域の文化拠点です。市民の熱意と行政のサポート、そして映画を愛する人々の努力によって支えられ、宝塚の街に活気と文化の灯を灯し続けています。これからも、地域住民にとってかけがえのない存在であり続けることでしょう。その未来は、私たち一人ひとりの関心と、宝塚シネ・ピピアへの継続的な支援によって担われています。

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