宝来食堂

宝来食堂の思い出

宝来食堂（ほうらいしょくどう）は、青森県八戸市の廿六日町に位置していた、歴史ある食堂です。1970年に八戸市鳥屋部町で創業し、経営のバトンを受け継いだ板橋光子さんが1983年に廿六日町に移転しました。2020年に閉店するその時まで、メニューの価格は一切上がることなく「庶民派食堂」として親しまれていました。

食堂の看板メニューは、手作りの中華そばとカレーライスでした。中華そばは創業時から200円、カレーライスは300円で提供されており、「時価」の定食も350円で楽しめました。さらに、味噌汁やカレールーはお代わり自由、漬物は無料というサービスもあり、出費を気にせずに食事を楽しめます。

特徴的な中華そば

宝来食堂の中華そばの最大の特徴は、8時からじっくりと3時間かけて仕込む、煮干し風味の透き通った黄金色のスープにあります。手作りの焼豚がトッピングされ、深い味わいを引き立てています。このスープは、訪れる人々にとって心温まる滋味深い一杯であり、多くの常連客を惹きつけました。

誰でも気軽に立ち寄れる場所

この食堂は、板橋さんとお手伝いの2人で運営されており、客は食事を終えた後に自ら食器をカウンターへ戻すのが一般的でした。中には、自ら食器を洗う常連客もいるほど、アットホームな雰囲気が漂っていました。板橋さんは、「自分のことを覚えていてくれる客がいる限り、店は続けたい」と語るほど、訪れる客との関係を大切にしていました。

辛い決断と閉店

しかし、時が経つにつれ、板橋さんは身体的な理由から店を続けることが難しくなっていきました。親族の話によれば、「スープを作る鍋を持ち上げられなくなった」とのことで、2020年11月2日まで営業を続けた後、休業し、9日に閉店の告知を出しました。40年にわたり地域の人々に愛されてきた宝来食堂は、ひとつの時代を終えました。

最後に

宝来食堂の思い出は、単なる食事以上の意味を持っています。ここで過ごした時間と味わった料理は、八戸市に住む人々にとって永遠の郷愁を呼び起こすものであり、多くの人々にとって変わらぬ「心の味」として残り続けているでしょう。また、その温かい雰囲気や人々とのつながりは、飲食店の本質を思い起こさせてくれます。

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