実質所得

実質所得とは

実質所得とは、名目所得から物価変動の影響を取り除いた、購買力で測った所得のことです。経済学において、所得の変化を年ごとに比較する際、物価の変動を考慮しなければ、正確な判断ができません。例えば、名目所得が増加しても、それ以上に物価が上昇すれば、実際に使えるお金は減ってしまうことになります。そこで、実質所得を用いることで、所得の変化をより正確に把握することができます。

実質所得の重要性

実質所得は、企業の投資活動や消費者の消費動向を分析する上で、非常に重要な指標となります。

企業にとって

企業の投資判断において、将来の収益を見込む際には、インフレ率を考慮する必要があります。実質所得は、将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いて評価するDCF法などを用いる際にも、重要な役割を果たします。また、企業の収益性を評価する上で、単年度の利益だけでなく、長期的な視点での実質所得の推移を分析することが不可欠です。
消費者にとって

消費者の購買力を測る上で、実質所得は欠かせない指標です。名目所得が増加していても、物価上昇によって実質所得が減少していれば、消費者は以前と同じ量の財やサービスを購入することができません。そのため、実質所得の変動は、消費者の消費行動に大きな影響を与えます。

実質所得の計算方法

実質所得は、一般的に以下の式で計算されます。


実質所得 ＝ 名目所得 ÷ 物価指数


ここで、物価指数とは、ある時点の物価水準を基準時点の物価水準と比較したものです。消費者物価指数（CPI）やGDPデフレーターなどが用いられます。

実質所得の伸び悩み

近年、日本では名目所得は増加傾向にあるものの、物価上昇の影響により、実質所得は伸び悩んでいます。これは、少子高齢化やグローバル化などの構造的な要因が複合的に影響していると考えられます。実質所得の伸び悩みは、消費の低迷や経済成長の鈍化につながるため、政府は実質所得の向上に向けた様々な政策に取り組んでいます。

まとめ

実質所得は、経済状況を正確に把握し、適切な経済政策を立案するために不可欠な指標です。企業の投資判断や消費者の消費行動を分析する上で、実質所得の動向を注視することが重要です。また、個人としても、自身の家計における実質所得の変化を把握し、適切な消費計画を立てることが、安定した生活を送る上で大切になります。

参考資料

実質所得 とは - コトバンク
実質所得とは - 国民経済計算用語 Weblio辞書
* 働いている割には実質所得が伸びないのはなぜか：日経ビジネスオンライン

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