室川貝塚

室川貝塚は、沖縄県沖縄市に位置する貝塚であり、その歴史は新石器時代前期にまで遡ります。この貝塚が特に重要なのは、曽畑式土器やヤブチ式土器といった特徴的な土器が発見されたことによります。これらの土器の様式から、室川貝塚は約6700年前の遺跡であると推定されています。

現在、室川貝塚は沖縄市役所の敷地内に保存されており、歴史公園として一般公開されています。この場所は、単なる史跡としてだけでなく、市民の憩いの場、歴史学習の場としても活用されており、沖縄市の歴史と文化を伝える上で重要な役割を果たしています。また、市指定文化財として、その価値が認められ、保護されています。

学術調査

室川貝塚では、過去に複数回の学術調査が実施されています。

第1次発掘調査: 1974年12月26日〜1975年1月5日
第2次発掘調査: 1975年7月8日〜7月18日
第3次発掘調査: 1976年7月4日〜7月21日
第4次発掘調査: 1977年8月1日〜8月23日
* 第5次発掘調査: 1978年8月8日〜9月4日

これらの調査では、貝塚の構造や出土品の分析を通じて、当時の人々の生活様式や文化、環境などが詳しく調べられました。

調査方法

発掘調査においては、まず基準となるトレンチ（試掘溝）を設定し、そこから周辺へと調査範囲を広げていく方法が用いられました。例えば、初期の調査ではMトレンチの南方延長上に2×2mの試掘坑（M-19）を設け、そこから試掘が開始されました。このように、場所によって調査方法は異なり、土層の状態や出土品の分布などを考慮しながら、慎重に調査が進められました。

土器

発掘調査で発見された土器は、室川貝塚の時代を特定する上で重要な手がかりとなりました。特に、第2層からは213点もの土器が出土しています。ただし、これらの土器はほとんどが小破片であり、完全な形を保っているものは少ないです。大きなものでも5センチ前後、多くは2〜3センチ大、中には1センチ以下のものも含まれています。これらの土器片は、当時の土器の製造技術やデザイン、用途などを知る上で貴重な資料となります。

発見

室川貝塚が最初に発見されたのは1974年であり、当時の沖縄市立コザ中学校の生徒によって偶然発見されました。この発見がきっかけとなり、その後の本格的な学術調査へとつながりました。

空白期

室川貝塚やその周辺の貝塚、遺跡においては、弥生時代から古墳時代に相当する遺物がほとんど見つかっていません。沖縄市全域、さらには勝連半島の付け根に位置する具志川市までの中城湾沿岸の広い範囲で、この時期の遺物が確認されていないことは、考古学的に興味深い現象です。この空白期については、気候変動や人口移動など、様々な要因が考えられていますが、詳しい原因はまだ解明されていません。

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