宮内嘉久

宮内嘉久：戦後建築界を牽引した多才な建築家

宮内嘉久（1926年1月4日-2009年12月13日）は、20世紀後半の日本建築界において、建築評論家、建築批評家、建築史家、編集者、そしてジャーナリストとして多大な貢献を果たした人物です。東京大学第二工学部建築学科を卒業後、その活動は建築雑誌の編集、建築団体の設立、同人誌の発行、教育活動と多岐に渡り、戦後日本の建築文化の発展に大きな影響を与えました。

雑誌編集者としての貢献

宮内嘉久のキャリアは、建築雑誌の編集に深く関わっています。1957年の「新建築問題」で知られる雑誌『新建築』の編集に携わった後、1956年創刊の『THE JAPAN ARCHITECT』の編集にも参加。さらに『国際建築』（美術出版社、1968年廃刊）、『建築年鑑』（美術出版社、1969年まで）などの編集も手がけました。これらの活動を通して、日本の建築情報を発信し、建築界の議論を活性化させる上で重要な役割を果たしました。

建築団体設立と同人誌

編集活動に加え、宮内嘉久は建築団体設立にも深く関わっています。1956年には大谷幸夫らと五期会を設立し、1958年には宮内嘉久編集事務所を開設しました。1969年には建築戦線（AF）を結成し、建築界の改革運動にも積極的に参加しました。

1975年には、大江宏、前川國男、白井晟一、神代雄一郎、岩本博行、武者英二らと同人誌『風声』を創刊。前川國男の死後、1986年7月には『燎』（かがりび）と誌名を変更し、1995年まで発行を続けました。これらの同人誌を通して、建築に関する独自の視点や議論を展開し、建築界に多様な意見を提示しました。『風声』『燎』は、建築史研究において貴重な資料となっています。

教育者としての活動

宮内嘉久は、1969年から多摩[[美術大学]]教授として現代建築を教鞭をとり、後進の育成にも尽力しました。長年にわたる編集者、評論家としての経験を生かし、学生たちに建築への深い理解と鋭い視点を伝えたことでしょう。

著作活動

数多くの著書も残しています。代表的な著作として、『現代の建築入門』『少数派建築論』『廃墟から　反建築論』『建築・都市論異見』などがあり、建築に対する独自の視点や思想が示されています。また、『前川國男作品集』、『建築ジャーナリズム無頼』、『前川國男　賊軍の将』といった編著や単著も発表し、建築史や建築批評、建築ジャーナリズムに大きな足跡を残しています。

死去

2009年12月13日、脳梗塞のため83歳で死去しました。日本の建築界に多大な貢献をした宮内嘉久の死は、多くの関係者に惜しまれました。彼の功績は、建築史に深く刻まれています。

まとめ

宮内嘉久は、建築評論、批評、史学、編集、ジャーナリズム、教育と、建築に関わる多様な分野で活躍した稀有な存在でした。彼の活動は、戦後日本の建築界の発展に大きな影響を与え、その業績は現在も建築界に影響を与え続けています。

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