宮原浩二郎

宮原浩二郎

日本の社会学者、宮原浩二郎（みやはら こうじろう、1956年生まれ）は、多岐にわたる社会現象を深く考察しています。彼の主な専門分野は社会学理論と文化社会学であり、特に近年は、社会空間を感性的な側面からアプローチする「社会美学（social aesthetics）」の研究に力を入れています。現在、関西学院大学の社会学部教授を務めています。

来歴

宮原氏は東京都で生を受けました。東京大学法学部を1978年に卒業後、大蔵省（現在の財務省）に入省しました。その後、研究への道を志し、米国ウィスコンシン大学マディソン校の大学院に留学。留学中に大蔵省を退官し、社会学を専攻しました。1986年には同大学院の博士課程を修了し、社会学修士（MA）および社会学博士（PhD）の学位を取得しました。

帰国後、1986年に関西学院大学社会学部に専任講師として着任。その後、助教授を経て教授に昇任しました。教育・研究活動に加え、大学運営においても重要な役割を担っています。2002年から2005年には副学長を務め、2005年から2008年には災害復興制度研究所長として、社会的に喫緊の課題に対する研究・提言活動を推進しました。また、2010年から2012年には社会学部長として学部運営を統括しました。

研究と業績

宮原氏の研究は、社会構造や文化、そして個人の内面にまで深く切り込む点が特徴です。初期には『貴人論』、『ことばの臨床社会学』、『変身願望』といった著作を通じて、人間の意識や言葉、自己変容といったテーマを探求しました。これらの著作は、従来の社会学の枠を超えた、人間存在そのものへの洞察に満ちています。

その後、『論力の時代ー言葉の魅力の社会学』では、現代社会における言葉の持つ力とその影響力に焦点を当てました。近年は、長年取り組んできた社会学理論や文化社会学に加え、社会空間をどのように感じ、経験するのかという感性的な側面に注目しています。藤阪新吾氏との共著である『社会美学への招待－感性による社会探究』や、近刊の単著『＜感性的なもの＞への社会学』は、この新しい研究領域における重要な成果です。

教育者としても精力的に活動しており、共編著として『変身の社会学』、『マンガの社会学』といった、現代社会の多様な側面を社会学的に分析する書籍を編集しています。また、『社会文化理論ガイドブック』の共編者としても、社会学を学ぶ学生や研究者にとって有益な情報を提供しています。

海外の重要な社会学理論書の翻訳にも携わっており、イヴァン・セレニィとジョージ・コンラッドによる『知識人と権力』、デイヴィッド・オーウェンによる『成熟と近代 ニーチェ・ウェーバー・フーコーの系譜学』などを共訳しています。これらの翻訳は、日本の社会学界に新たな視点をもたらす上で貢献しています。

宮原浩二郎氏の研究は、人間の内面から社会構造、さらには感性的な空間体験まで、幅広いテーマを扱い、現代社会の理解に多角的な視点を提供しています。大学教授として、また研究者として、現在も活発な活動を続けています。

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