宮地嶽古墳

宮地嶽古墳の詳解

概要

福岡県福津市に位置する宮地嶽古墳は、円形の形状を持つ大型古墳であり、津屋崎古墳群を構成する重要な遺跡の一つです。高さ180.7メートルの宮地岳山腹にあり、古代の焼骨塚であった宮地嶽火葬墓の遺構も近くに存在するなど、歴史的価値が高い地域です。江戸時代中期に石室が開口し、昭和期には数度の発掘調査が行われた結果、多くの副葬品が発見され、それが国宝に指定されることとなりました。

墳丘

宮地嶽古墳の墳丘は、元々直径35メートルの円形と推測され、その周囲には高さ約1.4メートルの石列が配置されています。現在の墳丘は、南北27メートル、東西34メートルに及ぶ楕円形となっています。墳丘上には厚さ2メートルの盛土層があり、これは過去の石室開口時に出た土砂が再盛土された痕跡です。

埋葬施設

埋葬施設は横口式の石槨系横穴式石室であり、特筆すべきはその長さ23メートルを超える規模です。石室は、奥側が少し狭くなり、複室構造を示す特徴があります。中でも、使用されている石材は恋ノ浦海岸から運ばれたもので、巨大な石が多数用いられています。この石室は、全国で第2位の大きさを誇り、宮地嶽古墳の代表的な特徴のひとつとなっています。

出土品

出土品には、大型の金銅装頭椎大刀や豪華な馬具、さらには須恵器や土師器といった様々な形式の副葬品があります。特に、唐草文の冠や馬具は高い国際的な影響を示しており、古代日本の文化の多様性を物語っています。これらの品々はその質と量から評価され、国宝として保護されています。

被葬者の推測

被葬者については、古代の宗像地域を治めた胸肩君（宗像氏）の首長である胸肩君徳善ではないかと考えられています彼は、天皇の外祖父とも見なされる重要な人物です。この古墳からは特定の人物の名前を明示する遺物は出ていませんが、その文化的及び政治的背景から胸肩君徳善との関連が強く示唆されています。

宮地嶽火葬墓

宮地嶽古墳の近くには、宮地嶽火葬墓と呼ばれる古代の火葬場が存在し、1938年にその一部が発見されました。この火葬墓でも、同様に高い陶器技術が見受けられ、その出土品は地域の歴史的背景をさらに深める証拠となっています。

文化財としての重要性

宮地嶽古墳はその出土品が1952年に国宝に指定されて以来、日本の歴史文化を代表する存在となっており、国の史跡にも登録されています。これにより、訪れる人々は古代の日本の文化や葬祭に関する知見を深める機会を持ち、歴史愛好者にとって必見のスポットとなっています。

現在においては、年に数回の神事の際に石室内への立ち入りが許可されていますが、普段は厳重に取り扱われており、その神秘的な魅力を保ちながら多くの人々に感動と思索の場を提供しています。

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