宮川葉子

宮川葉子（みやかわ ようこ）は、1947年8月に生まれた日本の日本古典文学研究者です。長年にわたり古典文学、特に中世・近世における古典の受容史や享受史を中心に研究を進めてきました。現在、淑徳大学国際コミュニケーション学部の教授を務めています。

宮川氏は、1971年に青山学院大学文学部日本文学科を卒業し、さらに深く古典文学を学ぶため同大学の大学院に進みました。1983年には、大学院博士課程において単位を取得し、満期退学しています。

大学院修了後、一時的に教育現場に身を置き、1984年から1988年にかけて青山学院高等部の教諭として教鞭をとりました。また、同時期には大学の非常勤講師としても活動し、研究と教育の両面で経験を積みました。

研究者としての評価を確立したのは、その後のことです。特に、古典学史上の重要人物である三条西実隆の研究は高く評価されました。1996年には、その研究成果をまとめた著作『三条西実隆と古典学』によって関根賞を受賞しています。翌1997年には、この同じ著作により、母校である青山学院大学から文学博士の学位を授与されました。これは、長年にわたる古典学研究の成果が学術的に認められた重要な出来事でした。

博士号取得と同年の1997年、宮川氏は淑徳大学に移籍しました。当初は助教授として教壇に立ちましたが、その後昇任し、教授として古典文学の研究・教育に専念しています。淑徳大学国際コミュニケーション学部では、専門分野である日本古典文学に関する講義や演習を担当し、学生の指導にあたっています。

宮川氏の主要な研究業績は、数多くの著書や論文として結実しています。特に注目される著作には以下のようなものがあります。

『三条西実隆と古典学』 (風間書房、1995年12月)
氏の代表作であり、関根賞受賞および博士号取得の対象となった著作です。室町時代後期の公家・三条西実隆による古典研究の様相を詳細に論じています。
『源氏物語の文化史的研究』 (風間書房、1997年12月)
日本の代表的な古典である『源氏物語』について、文化史的な視点からその意義や影響を探求した研究書です。
『柳沢家の古典学 松陰日記 上』 (新典社、2007年1月、新典社研究叢書)
近世大名である柳沢家における古典学の研究や受容に関する著作です。特定の家における学問の伝承というユニークな視点を提供しています。
『楽只堂年録 第一』 (八木書店、2011年7月、史料纂集古記録編)
史料の校訂・翻刻にも携わっており、この著作はその成果の一つです。古典研究の基礎となる史料学の重要性を示しています。
『源氏物語受容の諸相』 (青簡舎、2011年12月)
『源氏物語』が時代や文化によってどのように受け入れられ、解釈されてきたかという「受容史」に焦点を当てた研究です。
『柳沢家の古典学 文芸の諸相と環境 下』 (青簡舎、2012年2月、新典社研究叢書)
『柳沢家の古典学』の続編として、文芸活動とその背景にある環境について深く掘り下げた著作です。

これらの著作群からは、宮川氏が三条西実隆に代表される中世・近世の古典学、そして『源氏物語』の受容史を中心に研究を進めてきたことがわかります。特定の人物や家系における古典の学び、古典がどのように読まれ、どのように後世に伝えられてきたのかというプロセスに強い関心を持っていると言えるでしょう。

教育者としては、淑徳大学において長年の経験を持ち、古典文学研究の面白さや奥深さを学生に伝えるとともに、次世代の研究者の育成にも貢献しています。その研究活動と教育活動は、日本の古典文学、特にその享受・受容の歴史を理解する上で重要な位置を占めています。

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