宮本勝文

宮本勝文（みやもと かつふみ）は、1966年3月19日生まれ、大阪府出身の元ラグビー選手であり、現在は実業家として活躍しています。ポジションはフランカー(FL)で、そのパワフルな突破力と闘志溢れるプレーで多くのファンを魅了しました。

選手としてのキャリア

大阪工業大学高校、同志社大学を経て、1988年に三洋電機（現パナソニック ワイルドナイツ）に入社。学生時代からその実力は高く評価され、日本代表として第1回、第2回ラグビーワールドカップに出場しました。しかし、所属チームでの優勝経験はなく、「悲運の闘将」と呼ばれることもありました。

特に、1991年の全国社会人大会決勝での神戸製鋼戦は、彼のキャリアにおいて大きなターニングポイントとなりました。試合終了間際に同点トライを許し、その無念の表情は、多くのラグビーファンの記憶に深く刻まれています。その後も神戸製鋼に挑み続けましたが、勝利を掴むことはできませんでした。1994年、持病の膝の痛みに悩まされ、27歳という若さで現役を引退しました。

指導者としてのキャリア

引退後は香港に赴任し、社業に専念していましたが、2004年、三洋電機の監督に就任し、10年ぶりにラグビー界に復帰しました。就任当初はチームの成績が低迷していましたが、翌2005年シーズンには開幕から8連勝を達成し、チームを立て直しました。

2007年シーズンにはリーグ戦を全勝で終えましたが、マイクロソフトカップ決勝で敗退。しかし、日本選手権決勝ではサントリーに勝利し、チームに初の日本選手権優勝をもたらしました。この勝利は、現役時代に果たせなかった日本一の夢を、指導者として実現させた瞬間でした。

2011年には、社業の傍ら、母校である同志社大学ラグビー部の監督に就任。就任1年目でチームを関西リーグ2位に導き、大学選手権では帝京大学と死闘を繰り広げました。2012年シーズンをもって監督を退任し、再び社業に専念しています。2013年には三洋電機執行役員に就任しました。

エピソード

宮本氏の人生には、いくつかの興味深いエピソードがあります。2004年のトップリーグ開幕戦では、解説者として花園ラグビー場の解説席に座っていました。しかし、チームが連敗を重ねたため、急遽監督に就任することになりました。もし、開幕戦で勝利していれば、監督になることはなかったでしょう。現役時代は神戸製鋼に全敗していたものの、監督としては4戦全勝と、相性の良さを見せました。

また、2007年マイクロソフトカップ決勝後の記者会見で、サントリーの清宮監督の発言に反発し、日本選手権での再戦に強い意欲を示しました。その結果、サントリーを下し、チームを優勝に導いたことは、彼の勝利への執念を物語っています。

宮本勝文は、選手としてだけでなく、指導者としてもその才能を発揮しました。彼の情熱的で勝負へのこだわりは、多くの人々に感動を与え、ラグビー界に大きな足跡を残しました。

参考文献

『無冠のジャージィー』（富永俊治著 洋泉社1998年10月 ISBN 9784896913392）
『ナンバービデオ 日本ラグビー名勝負 社会人大会決勝 神戸製鋼対三洋電機 (1991.1.18) 』（文藝春秋）

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