宮森小学校米軍機墜落事故

宮森小学校米軍機墜落事故

1959年6月30日午前10時40分頃、アメリカ統治下の沖縄県石川市（現在のうるま市）で、米軍のF-100D戦闘機が宮森小学校に墜落する悲惨な事故が発生しました。この事故は、沖縄の歴史における重大な出来事の一つとして深く刻まれています。

事故の概要

事故を起こした米軍機は、嘉手納基地を離陸後、操縦不能に陥りました。パイロットは脱出に成功したものの、機体は制御を失い、市街地を横断して宮森小学校に激突。特に2年生の教室を直撃し、校舎は炎上しました。

当時、学校には約1000人の児童と教職員がおり、2時間目の授業後、ミルク給食の時間でした。ほぼ全員が校舎内にいたため、被害は甚大となりました。火災は1時間後に鎮火しましたが、小学生11人を含む17人が死亡、200人以上が重軽傷を負う大惨事となりました。さらに、17年後には後遺症で1人が亡くなり、犠牲者は18人に増えました。この事故で、校舎3棟、民家27棟、公民館1棟が全焼、校舎2棟と民家8棟が半焼しました。

現場は、火だるまになった子どもたちが水飲み場に走り、息絶えていくという凄惨な状況でした。校舎から離れた場所でも、苦しむ児童や負傷者が多数おり、我が子を探す親たちの悲痛な叫びが響き渡っていました。

事故の原因

事故機のF-100Dは、事故直前に台湾で整備を受けた後、嘉手納基地に戻り、整備不良が発見されたため、再度整備が行われていました。試験飛行中に操縦不能になったとされています。パイロットは住宅地を避けるため、機首を丘陵地帯に向けた後、脱出しましたが、機体は右旋回し、宮森小学校に墜落しました。その後の調査で、墜落直前に50kg爆弾が投棄されていたことが判明しました。

事故後の影響と補償

この事故は、沖縄全域で米軍に対する激しい反米感情を引き起こしました。当時、米軍による土地接収が強行されていた時期でもあり、抗議運動や補償要求が激化しました。石川市長は、賠償交渉を円滑に進めるため、事故復旧に貢献した米軍に感謝状を贈っています。しかし、米軍が支払った総額11万9066ドルの補償金は、被害者側の要求の1割程度に過ぎず、その対応は不十分であったとされています。

現在の状況と追悼

宮森小学校の中庭には、犠牲者を慰霊する「仲良し地蔵」が設置されています。毎年6月30日には、児童たちが追悼式を行い、犠牲者の冥福を祈っています。2008年には、事故当時2年生で生存者の一人である平良嘉男氏が校長として赴任しました。

この事故の報道は、沖縄テレビ放送の取材により、全国に伝えられました。しかし、沖縄テレビが開局したのは同年11月1日であり、事故当時は即時報道はされていません。

関連作品と団体

この事故をモチーフにした映画「ひまわり〜沖縄は忘れない あの日の空を〜」が2013年に公開されています。また、NPO法人石川・宮森「630会」が設立され、事故の教訓を後世に伝える活動を行っています。

宮森小学校米軍機墜落事故は、多くの犠牲者を出した悲劇として、決して忘れてはならない出来事です。私たちはこの事故から学び、平和を希求し続ける必要があります。

参考資料

沖縄県警察史編さん委員会編『沖縄県警察史 第3巻（昭和後編）』（2002年）
石川市編『石川市制施行50周年記念・市勢要覧』（1995年）
* ひろはた えりこ『ひまわり　沖縄は忘れない、あの日の空を』汐文社、2012年

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