宮竹貴久

宮竹 貴久氏（1962年2月22日生まれ、大阪府出身）は、日本の生物学者であり、岡山大学大学院環境生命科学学域で教授を務めている。博士（理学）の学位を持ち、主に昆虫を研究対象とした行動生態学や進化生物学などの分野を専門としている。

氏の研究の中心は、昆虫の行動と進化に関する深い探求にある。具体的には、行動生態学、進化生物学、昆虫生態学、そして応用昆虫学といった多岐にわたる分野を横断し、昆虫たちの生存戦略や多様性のメカニズムを明らかにしようとしている。特に、環境の変化に応じた昆虫の行動や、種間・個体間の相互作用が進化に与える影響などを詳細に研究している。

長年にわたる研究活動は高く評価されており、数々の栄誉に輝いている。2001年に日本応用動物昆虫学会奨励賞を受賞したのを皮切りに、2002年には日本生態学会 宮地賞、2010年には日本応用動物昆虫学会賞を受賞。さらに、2016年には日本動物行動学会 日高賞、そして2025年には日本農学賞および読売農学賞の受賞が決定しているなど、その功績は学術界で広く認められている。

研究成果を専門分野にとどまらず広く社会に伝えることにも力を入れている。一般向けの啓発書を多数執筆しており、生物の奇妙な戦略を解説した『「死んだふり」で生きのびる：生き物たちの奇妙な戦略』（岩波書店）、オスとメスの生物学的違いに迫った『したがるオスと嫌がるメスの生物学』（集英社新書）、社会現象を生物学的視点から読み解く『「先送り」は生物学的に正しい 究極の生き残る技術』（講談社+α新書）、特殊害虫に関する『特殊害虫から日本を救え』（集英社新書）などがある。また、共著書として世界自然遺産やんばるの希少生物を紹介した『世界自然遺産やんばる』（朝日新書）や、専門書である『昆虫生態学』（朝倉書店）、『行動生態学』（共立出版）なども手掛けている。その他にも、体内時計や不妊虫放飼法といった特定のテーマに関する書籍の一部を分担執筆している。

さらに、多くのテレビ番組にも積極的に出演し、昆虫の生態や生物学の面白さを分かりやすく解説している。例えば、NHKの『ダーウィンが来た!』や『サイエンスZERO』、BS NHKの『ビヨンド・ファーブル』などの科学番組のほか、『日曜日の初耳学』や『ほんまでっか！？TV』といった情報・バラエティ番組、地域のニュース番組にも出演している。これらの活動を通じて、学術研究の最前線を一般に紹介し、科学への関心を高めることに貢献している。

宮竹氏は、昆虫を通じた行動生態学・進化生物学の第一人者として、学術研究の進展に貢献するとともに、精力的な執筆・メディア活動を通じて、科学知識の普及と次世代の研究者育成にも尽力している。

もう一度検索