家族八景

家族八景

概要

『家族八景』（かぞくはっけい）は、日本の著名な小説家・筒井康隆によるSF小説であり、同名の漫画やテレビドラマの原作となっています。この作品は1970年から1971年にかけて発表され、1話完結の短編小説8編から構成されています。それぞれの短編は「無風地帯」「澱の呪縛」「青春讃歌」「水蜜桃」「紅蓮菩薩」「芝生は緑」「日曜画家」「亡母渇仰」というタイトルが付けられています。後に続編として、同じく「七瀬シリーズ」に属する『七瀬ふたたび』や『エディプスの恋人』が発表されています。また、この作品は第67回直木賞の候補作としても知られています。

不運にも、筒井はこの年の受賞を逃すことになり、井上ひさしや綱淵謙錠が栄冠に輝いたことから、彼自身も少なからず期待を抱いていたと語っています。

あらすじ

物語の主人公は火田七瀬、18歳の女子高生であり、彼女は人の心を読むことができる能力を持つテレパスです。高校を卒業した七瀬は、住み込みの家政婦として様々な家庭を渡り歩きます。彼女は家族の心の内を読み取ることで、行く先々で深刻な問題やトラブルを引き起こしてしまうのです。物語は、彼女が女性としての成長を迎え、性的な関心を寄せられるようになる姿を描きながら進行します。そして、20歳を迎える最終話では、お手伝いを辞める決断を下します。

漫画化

この作品は1977年には、赤塚不二夫によって『ハウスジャックナナちゃん』というタイトルで漫画化され、さらに2007年から2008年には清原なつのの作画により、全8話が『コミックチャージ』で連載されました。これにより、原作のエピソードが新たな形で視覚化され、多くの読者に親しまれることになったのです。

テレビドラマ

1979年版

1979年にはTBS系列で「芝生は緑」というタイトルで放送されました。このドラマは七瀬シリーズの初の映像化作品であり、女優の多岐川裕美が七瀬役を演じました。彼女の演技によって、視聴者は心を読む能力の持つ七瀬のキャラクターに触れることができました。

1986年版

1986年には、フジテレビ系列で『家族八景 18歳の家政婦は見た!!』という新たなタイトルでリメイクされました。この版では、堀ちえみが七瀬を演じ、家庭内の秘密や人間関係の複雑さが描かれました。

2012年版

そして2012年、毎日放送から放送された『家族八景 Nanase,Telepathy Girl's Ballad』では、木南晴夏が主演し、心の声を読む七瀬の新たな解釈が展開されました。このドラマでは七瀬の内面的な成長や家庭との関わりがテーマとなり、感情豊かなエピソードが視聴者を魅了しました。

影響と評価

『家族八景』は、創作の幅広さと深さから、多くのメディアで表現され、各時代の視点から家庭や人間関係のニーズを探求し続けています。また、その独自のテーマ性は、視聴者、読者に多様な解釈を可能にしており、SF小説の枠を超えた魅力を持つ作品と言えるでしょう。このため、『家族八景』は日本国内外で広く評価され、ファン層を持つ作品となっています。

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