家族熱

家族熱 (かぞくねつ)

概要

「家族熱」は、1978年7月から10月にかけてTBSテレビの「金曜ドラマ」で放送された日本のドラマで、全14話を通じて家族の複雑な関係を描いています。脚本を手掛けたのは向田邦子で、この作品は、家族の絆や裏切りをテーマにした深いドラマ性が特徴です。2018年には合津直枝の手によって、舞台化されるなど、今もなお多くの人々に愛され続けています。

あらすじ

物語は、東京の裕福な家庭、黒沼家を中心に展開します。主人公の黒沼朋子は、専業主婦として、17歳年上の夫・謙造、二人の義理の息子、そして謙造の父・重光との5人暮らしを築いていました。朋子は家庭をしっかり支え、家事をテキパキとこなしていましたが、ある日、夫や息子たちが彼の前妻・恒子と密かに会っていることを知り、心に大きな傷を負います。朋子は離婚を覚悟し、家を出ることを決意します。

朋子は友人の時子のマンションに身を寄せ、編集の仕事を手伝う一方、夫の謙造は橋建設の入札に奔走する日々を送っていました。謙造は、元妻恒子から得た情報をもとにした裏取引も含まれており、恒子は大阪の料亭での仕事を通じて入手した情報を謙造に提供していました。恒子は14年前、謙造の出張中に恋人と一緒に過ごし、末娘・光子を失うという悲劇に見舞われた過去があります。恒子の行動は、謙造の成功にも影響を与えましたが、謙造は贈賄の疑いで逮捕され、朋子は彼を支えるため家に戻る決意を固めます。

一方で、重光は謙造から恒子に宛てた手紙の存在を知り、それを取り返すために病院から抜け出し恒子に会います。その結果、重光は生涯をかけて恒子と真剣に向き合うことになりますが、結果的に力尽きてしまいます。この出来事を契機に恒子の行動は次第に狂気に満ちていき、黒沼家への執着を強めます。

そんな中、杉男は14年前の曖昧な記憶が突然蘇り、真相を知ることになります。朋子、謙造、杉男、竜二は、恒子の状況を前に様々な選択を迫られることになります。

登場人物

• - 黒沼朋子（浅丘ルリ子）: 33歳の専業主婦で、黒沼家を守る主人公。家族の裏切りにより家出する。
• - 黒沼杉男（三浦友和）: 26歳の麻酔科医で、朋子の義理の息子。愛憎交じる感情を抱える。
• - 黒沼謙造（三國連太郎）: 50歳で、黒沼家の主。前妻との問題を抱えながら仕事に励む。
• - 片桐恒子（加藤治子）: 謙造の前妻で、波乱を引き起こす要因。
• - 黒沼竜二（田島真吾）: 朋子の義理の息子で、朋子に厳しい態度を取る。
• - 黒沼重光（志村喬）: 謙造の父。夫としての責任を果たそうとする。

舞台化

2018年には、合津直枝の企画・台本・演出によって、「家族熱」が舞台化されました。この舞台では、ドラマの3年後を舞台に描き、歳の近い義母と息子の間に生じる心理的な葛藤を描いています。

結論

「家族熱」は、家族という身近な存在の中での苦悩や葛藤、愛情の変化を繊細に描き出す作品で、視聴者の心に深く残るストーリーです。時代を超えて、そのテーマは普遍的であることから、多くの作品に影響を与えています。

もう一度検索