寄生獣 (映画)

映画『寄生獣』の概要

『寄生獣』（きせいじゅう）は、岩明均の著作に基づく実写映画であり、2014年と2015年に公開された。監督は山崎貴が務め、主に染谷将太が主演する。全体は二部構成で、前編が2014年11月29日に、後編が2015年4月25日に公開された。本作品は、人間の頭脳を制御し、肉体を利用して他者を捕食する寄生生物「パラサイト」による脅威が描かれている。

映画のストーリー

物語は現代日本を舞台に、パラサイトの卵が深海から港に上がり、幼生となり様々な場面で人間に寄生していくことで始まる。主人公の泉新一は、自宅に現れたパラサイトから頭部の寄生を免れつつも、右腕に寄生され、寄生生物ミギーとの奇妙な共生を余儀なくされる。新一は、無理矢理に寄生された体を持つミギーと共に、他の寄生生物との戦いに巻き込まれていく。

本作は、原作に基づきつつもエピソードの順序や因果関係が一部変更されており、監督らが映画的な構成を持たせている。その結果、前編では新一の心境の変化と共に、エンターテインメント性が重視されている。後編においては、登場人物たちの心の葛藤や、人間と寄生生物の複雑な関係が掘り下げられる。特に、完結編では、パラサイトが主人に寄生しながらも人間の側に立つ存在として描かれる場面も増加し、物語はより深刻なテーマへとシフトしている。

キャッチコピー

本作の前編のキャッチコピーは「日常は、ある日とつぜん、食べられた。」そして、完結編では「君は、まだ、人間ですか？」や「愛する人を、守れますか？」などが使用された。

登場人物

特に主人公である泉新一は、母子家庭の設定に改変されており、その背景には物語の根底に流れる「母」と「人間とは何か」というテーマがある。また新一の右手に寄生したミギーとの関係性は、コミカルかつ軽快な対話が特徴で、更なる緊張感を持たせることに寄与している。

他にも、寄生ネッワークに属するキャラクターたちや、新一の幼馴染の村野里美など、多くの登場人物がそれぞれの背景を持ち、物語に深みを加える。特に田宮良子というキャラクターは、自身の寄生という立場から人間との関係を考え、複雑な感情を抱える重要な存在として描かれる。

制作背景

映画は原作の人気を受けて、2013年に実写化が正式に発表された。監督の山崎貴は、原作漫画の初期からファンであったことから映画化に情熱を注いできた。脚本は山崎が初期稿を書き、古沢良太との共同作業で完成し、全体にわたる変更が行われた。特に、パラサイトの描写や戦闘シーンにはCG技術が多く用いられ、視覚的な迫力が際立った作品として仕上がっている。

日本においては、原作ファンから期待される一方で実写化に対する不安も浸透していたが、公開後は評価が分かれたものの、観客の心を掴む内容に仕上がった。また、後のテレビ放送や国際映画祭でも高評価を得られるなど、新たなファン層を獲得することにつながった。

受賞・評価

物語は日本国内外で話題を呼び、映画館での公開後には様々な洋画祭での上映や受賞歴もある。特に第27回日刊スポーツ映画大賞で新人賞を受賞した東出昌大を始め、様々な評価を受け、原作ファンだけでなく新たな観客へのアプローチに成功した。

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