寄留

寄留（きりゅう）についての概要

寄留は、知人の家などに一時的に身を置くことを示します。また、日本の旧法令では、90日以上本籍地外に居住地を持つことを指しており、これは寄留法第1条で定義されていました。1952年に施行された住民登録法により、寄留法は廃止され、現在ではこの制度は存在しません。以下は、主に寄留法が有効であった当時の内容についての説明です。

制定経緯

寄留制度は、戸籍制度を補完し、内地や樺太に住む人々の所在を把握するために重要なものと考えられていました。この制度は明治時代から存在し、1869年の太政官布告・1886年の内務省令などによって調整されました。そして、1914年に寄留法（大正3年法律27号）が制定されました。この法律に続いて、寄留手続令と寄留手続細則も作成され、内地と樺太に適用されることとなりました。

重要なのは、寄留法の適用範囲です。本法は内地や樺太に居住する者に適用されましたが、朝鮮や台湾などの帝国領域には適用されませんでした。寄留法の規定によれば、一定の場所に居住し、本籍地とは異なる住所を有することが必要であり、たとえ本籍の市町村内にあっても別の場所で居住する場合は寄留と見なされました。逆に、船舶のように移動可能なものを寄留先とすることは認められませんでした。

寄留者の義務と制裁

寄留に関する事務は市町村長が管理し、監督は司法行政が行うことになっていました。寄留者は市町村長に対して寄留の届出をする義務があり、これに違反した際には罰金が科せられました。寄留者は住所と居所をそれぞれ別に持つことができ、これを住所寄留と居所寄留と呼びました。

居所寄留は居住地が本籍地以外にある場合に適用され、すでに居所寄留を有している者が新たに別の居所寄留をしようとした場合は旧居所寄留が消滅しました。届出は、住所や居所の変更に応じた特定の期間内に行う必要がありました。通知義務は原則として寄留者本人にあり、場合によっては他の家族や世帯主が同時に行う必要もありました。

寄留簿の作成

寄留手続きには寄留簿の作成も含まれており、寄留地の地番号順に編製されました。寄留簿には住所寄留と居所寄留の情報が記録され、届出によって記載が行われましたが、事実と異なる場合に備えた職権による訂正も考慮されていました。寄留者の戸籍は寄留手続令に従って市町村長によって補足され、この情報は公示される必要がありました。

真実に基づいた寄留簿の維持は、寄留者の権利と義務を理解する上で重要でしたが、結果的にこの制度は昭和27年に廃止され、現在においては寄留という概念は法的には存在しなくなっています。

まとめ

寄留制度の廃止は、戦後の行政制度の変化を反映したものです。この制度は、過去においては重要な役割を果たしていましたが、現代の社会では新しい住民登録制度に取って代わられています。寄留の概念を理解することは、日本の歴史や法制度の変遷を知る上で貴重です。

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