富士 (戦艦)

戦艦「富士」について

戦艦「富士」は、日本海軍の歴史において重要な役割を果たした艦艇であり、富士型戦艦の1番艦として知られています。この艦は、日本が初めて保有した近代的な戦艦の一つであり、特徴的なのはその厚い舷側装甲で、最大厚457mmという防護性能を誇ります。この装甲の厚さは、後に建造される大和型戦艦の410mmを上回るものでした。艦名の由来は、日本のシンボルである富士山から取られています。

艦歴の概要

戦艦「富士」の建造は1891年に遡り、当時の軍艦建造予算が何度も否決される中、明治天皇が自らの資金を節約することで、建造計画がようやく承認されました。1894年8月にイギリス・ロンドンのテームズ社で起工され、1896年には進水を果たします。

1897年には日本海軍に正式に編入され、ヴィクトリア女王即位60周年記念の観艦式に参加するため、常備艦隊の旗艦として利用されます。この儀式は、日本にとって国際的な地位を示す重要なイベントでした。

一等戦艦への類別

1898年には、日本海軍が艦艇の類別標準を定める際、「富士」は1万トン以上の艦艇として一等戦艦に分類されました。この時期、富士は明治天皇の御召艦として皇族の視察にも利用され、「神戸沖での艦隊親閲」においてその役割が強調されました。

日露戦争への参戦

1904年から始まる日露戦争では、富士は先頭に立って数々の重要な海戦に参戦しました。特に旅順口攻撃や黄海海戦、日本海海戦などでは主力戦艦としての役割を果たし、その活躍が日本の勝利に寄与しました。

旧式艦への移行

1912年、艦艇の基準が見直され、富士は一等海防艦に類別変更されました。この時期より徐々に旧式艦として位置づけられるようになります。1922年には、艦艇としては公式に軍艦籍から除籍され、特務艦としての役割を担うことになります。

練習艦としての役割

富士は運用術練習艦に指定され、その後の艦生涯においては様々な訓練目的で使用されました。1923年の関東大震災では、救護活動にも参加し、社会的な役割を果たしました。

戦後の変遷

戦後、富士は終戦直前の空襲で大破し、最終的には解体されることとなりました。1945年、横須賀で炎上し大破したのがその運命の頂点であり、その後解体されることで、日本海軍の歴史の一部として終焉を迎えました。

まとめ

戦艦「富士」はただの軍艦ではなく、日本の近代史を物語る重要な存在でした。その優れた戦闘能力と艦の歴史は、今なお多くの人々に知られ、記憶されることが期待されています。日本海軍の栄光と挫折を共にした「富士」の物語は、日本の航海の歴史の中で語り継がれていくことでしょう。

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