富士の介

富士の介（ふじのすけ）

富士の介は、山梨県が誇るブランド魚であり、ニジマスのメスとキングサーモンのオスを交配させて生まれた、全雌異質三倍体の魚です。海に面していない山梨県ですが、古くから淡水魚の養殖が盛んで、ニジマスの生産量は日本でも上位に位置しています。その山梨県が、キングサーモンの美味しさとニジマスの育てやすさを両立させることを目指して開発したのが、この富士の介なのです。

概要

富士の介は、キングサーモンの優れた風味を受け継ぎながら、ニジマスの持つ飼育の容易さを兼ね備えています。山梨県水産技術センターが長年の研究を経て開発に成功しました。

2019年10月には、甲府市の湯村温泉にあるホテルで初めての出荷式が開催され、富士の介を使った様々な料理が提供されました。炙りや昆布締め、マリネなど、その美味しさを堪能できる工夫が凝らされています。また、富士の介の「応援団長」には、お魚博士として有名な「さかなクン」が就任し、その普及を後押ししています。

山梨県立富士湧水の里水族館では、2017年12月より富士の介の常設展示が行われており、その姿を間近に見ることができます。

開発の経緯

開発の背景には、キングサーモンの味が良いものの、養殖には適していないという課題がありました。そこで、キングサーモンの美味しさを維持しつつ、より養殖しやすい品種を開発するために、2007年から山梨県水産技術センターで交配が開始されました。試行錯誤の結果、2016年には水産庁から養殖の承認を得るに至り、2017年には一般公募によって「富士の介」という名称が決定しました。

生産

富士の介は、山梨県水産技術センターが生産した卵を、県内の養殖業者に供給する形で生産されています。養殖業者の方々は、安全な餌の使用や、出荷時の肉色など、一定の基準を満たすように管理することで、高品質な「富士の介」ブランドを維持しています。

養殖場での飼育は2017年に本格的に開始され、約3年の歳月をかけて、全長約70センチメートル、重さ3キログラムほどに成長します。2019年時点では、山梨県内7か所の養殖場で富士の介が飼育されており、養殖期間が2年で2キログラム以上に育ったものが、出荷の目安とされています。

2020年の出荷量は約20トンに達し、山梨県を代表する新たな特産品として、その地位を確立しつつあります。


外部リンク
富士の介のご紹介 - 山梨県養殖漁業協同組合
富士の介（キングサーモン×ニジマス）について - 山梨県公式ページ

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