富山地方鉄道海岸線

富山地方鉄道海岸線の歴史と背景

富山地方鉄道海岸線は、かつて富山県北部において富山湾沿岸を結ぶ鉄道の路線が計画されたものであり、最初の構想は1937年に遡ります。この年、富山電気鉄道が富岩鉄道を傘下に収めたことで、海岸線の敷設が具体化し始めました。最初の敷設免許申請は1940年8月31日に行われましたが、申請は戦時中に発生した交通統合の影響を受け、国有化されることとなります。

1945年には、申請した免許書類が返戻され、さまざまな障害があったものの、富山地方鉄道は何度も免許申請を行い、沿線地域の市町村もこの路線の促進を目指す運動を展開しました。さらなる困難やモータリゼーションの進展によって計画は進まず、1973年6月19日、ついに鉄道敷設免許の廃止申請が行われました。これによって海岸線は未成線としての運命を辿ることになりました。

主要な歴史的出来事

1. 1937年（昭和12年）: 富山電気鉄道が富岩鉄道を初めて傘下に収め、海岸線の構想が始まる。
2. 1940年（昭和15年）: 初の敷設免許申請が提出される。
3. 1945年（昭和20年）: この年には申請書が返戻され、以降も計画は頓挫。
4. 1973年（昭和48年）: 富山地方鉄道が敷設免許の廃止を申請し、計画は終焉を迎える。

計画の背景

富山地方鉄道海岸線が計画された背景には、地域の交通需要の高まりがありました。戦後の富山県では、経済発展に伴い自動車の普及が進んでいたものの、鉄道による輸送の効率性と安全性も大いに期待されていました。特に、地域の工業地帯と港湾地区を直結する路線の必要性が強く求められました。

また、海岸線の設計には、地域住民の意見も反映されており、各市町が密に連携して敷設促進の運動を行っていました。1955年には、富山市や滑川市などの市町長や商工会議所会長らが集まって海岸線の敷設促進期成同盟会が結成されました。こうした地域からの要望は、地方鉄道の発展に対する期待や信念を強く表していました。

海岸線計画の終焉

しかし、時間が経つにつれ、計画は様々な理由から進展しなくなります。行政の計画変更や資金調達の難しさ、さらにはモータリゼーションが進行する中での運行コストの圧迫など、数多くの要因が絡み合い、1973年に最終的に敷設免許が廃止されることとなりました。これにより、富山地方鉄道海岸線は夢に終わり、未成線として歴史の中に埋もれることになります。

2014年以前、中滑川駅にはこの海岸線のために設けられたとされる3番線が存在しており、この地の歴史を物語る一端を担っていました。海岸線が実現していれば、富山湾沿岸の交通の便が大きく改善され、経済や観光に寄与したと考えられています。そのため未成線の計画は、富山地方鉄道沿線地域にとって未だに忘れられない存在となっています。

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