富川盛武

富川 盛武（とみかわ もりたけ）は、1948年1月13日に沖縄県中頭郡北谷町に生まれた日本の経済学者であり、地方公務員としてのキャリアも重ねた人物です。長年にわたり教育・研究分野で貢献し、その知識と経験を活かして沖縄県の行政にも深く関わりました。

富川氏は、まず地元沖縄の琉球大学法文学部で経済学を修め、1971年に卒業しました。その後、学術的な探求を深めるため本土へ渡り、明治大学大学院政治経済学研究科経済学専攻で学び、1974年に修士課程を修了しています。大学院在学中には、後に自身の生活の一部となる剛柔流空手に出会い、新宿区の道場へ通い始めました。この経験はやがて空手三段という腕前へとつながります。

大学院修了後、富川氏は沖縄に戻り、1976年に沖縄国際大学商経学部の専任講師として教壇に立ちました。研究者としての視野を広げるため、1981年には北海道大学で研修を受け、1985年には沖縄国際大学商経学部の教授に昇任します。さらに1990年にはハワイ大学に客員研究員として滞在し、国際的な視点も養いました。学術研究においては、特にアジア経済に関心を寄せ、2001年には「台湾の工業化と企業適応に関する研究 : 企業適応のネットワーク機能を中心に」というテーマで、母校である明治大学から博士（経済学）の学位を授与されました。

大学でのキャリアを着実に積む一方で、富川氏は社会的な活動にも関わります。2003年には沖縄銀行の監査役に就任し、地域経済の健全化に貢献しました。大学内では管理職としても手腕を発揮し、2004年には産業情報学部長、2006年には大学院地域産業研究科長を務めます。そして、2008年から2012年までの期間、沖縄国際大学の学長として大学運営の重責を担いました。大学を去った後も、その功績を称えられ、沖縄国際大学名誉教授の称号が贈られています。

教育・研究者としての傍ら、富川氏は沖縄県の抱える課題解決のため、行政分野でも重要な役割を果たしました。2015年には沖縄県政策参与として県政に参画し、その知見を提供しました。2017年には、前任者である安慶田光男氏の後を引き継ぎ、沖縄県副知事に就任します。副知事として、県が直面する経済政策の推進や、長年の懸案事項である普天間基地移設問題といった重要な課題を担当しました。2018年には沖縄県知事の職務代理者も務めるなど、県政運営の中心的な役割を果たしています。

副知事を退任した後も、富川氏は多方面で活躍を続けています。2021年には那覇空港ビルディングの会長に就任し、沖縄の玄関口の発展に寄与しています。個人的な側面としては、空手やマラソンを趣味とし、アクティブな一面も持っています。また、家族としては、孫にネイルアーティストの富川奈恵氏がいます。

経済学者として沖縄の教育・研究に貢献するとともに、副知事などの要職を通して地域社会の課題解決に尽力した富川氏は、学識と実務経験を兼ね備えた人物として知られています。地域経済の発展、教育機関の運営、そして複雑な政治課題への対応など、その活動領域は多岐にわたり、沖縄の未来に大きな足跡を残しています。

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