富田清吾

富田 清吾（とみた せいご）

1946年12月1日、福島県に生まれる。プロ野球の世界で投手としてプレーした。

アマチュア時代

上京し、中央大学付属高等学校へ進学。父親が学業への影響を懸念し野球部への入部には反対したため、高校では硬式野球部には所属せず、草野球で技量を磨いた。高校卒業後、中央大学法学部に進学。大学では一般的な硬式野球部ではなく、作家である藤原審爾氏がオーナーを務める準硬式野球の名門チーム「藤原チーム」に所属し、エース投手として頭角を現した。

準硬式野球の舞台ながら、富田投手は類稀なる才能を発揮した。特筆すべきは、達成した驚異的な記録である。完全試合を2度、そしてノーヒット・ノーランを4度も成し遂げたのだ。このことからもわかるように、彼は非常に高いレベルの投球技術と精神力を兼ね備えていた。

プロ入り

大学卒業を控え、大手コンピューター企業である日本アイ・ビー・エムへの就職が内定していた。しかし、野球への情熱を捨てきれず、プロ野球への挑戦を決意。入団テストを経て、1968年のNPBドラフト会議において、読売ジャイアンツから10位指名を受けた。この指名を受け、安定した大手企業への就職を辞退し、プロ野球選手への道を選んだ。

ドラフト指名時には、準硬式野球での輝かしい実績と、既に評価の高かった抜群の制球力、そして十分な球速を持つ左腕投手として、球団首脳陣から大きな期待が寄せられていた。彼のオーバースローから繰り出される投球は、特にシュートとカーブを得意球としていた。

プロでのキャリアと引退

ジャイアンツに入団後、背番号68を与えられ、プロ野球選手としての第一歩を踏み出した（背番号は1969年から1972年まで着用）。

プロ入り間もない1969年には、若手選手の登竜門とされるフレッシュオールスターゲームにも出場。これは彼に対する球団の期待の表れであり、将来を嘱望される存在であったことを示している。

しかし、プロの厳しい競争の壁は厚かった。準硬式での実績と期待にもかかわらず、ついに一軍公式戦のマウンドに立つことは叶わなかった。数年間、一軍昇格を目指して奮闘したが、その機会は訪れなかった。

そして、1972年シーズン終了後に自由契約となり、ユニフォームを脱ぐこととなった。プロ野球選手としてのキャリアは、残念ながら一軍出場を果たせないまま、短い期間で幕を閉じた。

没年

プロ野球界を離れた後の消息は詳らかではないが、2022年3月11日に亡くなった。75歳没。

故郷である福島県、そしてジャイアンツに関連する人物として、その名は記憶されている。

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