寒川道夫

寒川道夫（さがわ みちお）は、1910年2月25日に生まれ、1977年8月17日に亡くなった日本の教育者、児童文学作家です。新潟県中蒲原郡新津町（現在の新潟市秋葉区）で、教育者の長男として生を受けました。

生涯

1921年に三島郡大河津村（現在の長岡市）の五社小学校を卒業後、1926年には長岡中学校（現在の新潟県立長岡高等学校）を卒業しました。1927年には、古志郡田井尋常高等小学校（現在の見附市立田井小学校）で代用教員として教壇に立ちました。その後、1930年に高田師範学校を卒業し、古志郡一之貝小学校（現在の栃尾市立一之貝小学校、廃校）や、1932年には同郡村立黒条尋常小学校（現在の長岡市立黒条小学校）で教師を務め、生活綴方運動に参加しました。この時期には、詩集『山芋』の作者である大関松三郎を指導したことでも知られています。

しかし、1941年に治安維持法違反（生活綴方事件）で逮捕され、2年間の獄中生活を余儀なくされました。これにより教職を追われることになりましたが、名古屋での工員生活を経て、1948年に教職に復帰しました。東京の明星学園小学校に勤務する傍ら、児童文学作品を発表し、同校の理事、校長、事務局長を歴任した後、1970年に退職しました。

教育者としての活動の傍ら、1975年には三鷹市長選挙に立候補しましたが、残念ながら落選しました。

著書

寒川道夫は、教育に関する著書と児童文学作品を多数残しました。

教育に関する著書には、

『母と教師のための作文教室 小学一年生』（1952年）
『文字とことばの教室 6年生』（1955年）
『書くこと 国語と文学の教室』（1956年）
『国語の新しい授業』（1960年）
『文字とことばの力をのばす 6年生』（1966年）
『人間教師として生きる』（1978年）
『児童詩教育論』（1979年）
『文学教育論』（1979年）

などがあります。

児童文学作品としては、

『きょうだいがっこう』（1957年）
『ねずみのおすもう』（1957年）
『みんないっしょ』（1958年）
『五色のしか』（1976年）

などを発表しました。

また、共編著として、

『山芋 児童詩指導記録とその作品 大関松三郎詩集』（1951年）
『お父さんを生かしたい 平和を叫ぶ子らの訴え』（1952年）
『ぎんやんま 小学生の詩集』（1955年）
『わたしたちのことばと文字』（1955年）
『子どもをのばす生活綴方』（1957年）
『生活綴方的教育方法の発展』（1957年）
『生活指導問題講座』（1958年）
『作文の見かた育てかた』（1961年）
『日本児童詩集』（1971年）
『いばらの道をふみこえて 治安維持法と教育』（1976年）

などがあります。

受賞歴と関連書籍

1952年には、『鷹の子』で日本児童文学者協会新人賞を受賞しています。

関連書籍として、『『山芋』の真実 寒川道夫の教育実践を再検討する』（1996年）があります。この書籍は、寒川道夫の教育実践を深く考察しており、彼の教育思想を理解する上で貴重な資料となっています。

論文

「農村文化指導出発書」（1940年）という論文も残しています。

寒川道夫は、教育者として、また児童文学作家として、子供たちの成長と可能性を信じ、その生涯を教育と文学に捧げました。彼の残した多くの作品は、今もなお多くの人々に影響を与え続けています。

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