寒風古窯跡群

寒風古窯跡群について

寒風古窯跡群は、岡山県瀬戸内市牛窓町長浜に位置する重要な古代窯業遺跡です。この遺跡は邑久古窯跡群の一部であり、国の史跡にも指定されています。古墳時代から平安時代にかけての須恵器窯跡が点在し、この地域は中四国地方最大の須恵器の生産地とされているのです。須恵器の製造技術は、後の備前焼へと進化したと考えられています。

寒風古窯跡群は邑久古窯跡群の中で最南端に位置し、その規模は最大です。標高50〜60メートルの丘陵の南西面に広がっており、操業は主に7世紀の飛鳥時代を中心に約100年間続きました。この遺跡は、古代の人々がどのように陶器を製造していたかを知るための貴重な手掛かりとなっています。

発見の歴史

昭和初頭、地元の郷土史研究家である時実黙水（ときざね もくすい）は、寒風古窯跡周辺で須恵器を大量に発掘し、その研究誌を発表しました。このことにより、遺跡の存在が知られるようになりました。昭和53年（1978年）には遺跡の磁気探査やトレンチ調査が行われました。そして昭和61年（1986年）2月5日、正式に国の史跡に指定されました。

その後、瀬戸内市教育委員会は遺跡の保存と公開を目的に、平成17年（2005年）から平成20年（2008年）にかけて発掘確認調査を行いました。この調査によって、遺跡内には1号窯、2号窯、3号窯が確認され、合計で5基の窯跡が存在することがわかりました。

製造された須恵器の種類

寒風古窯跡群で製造されていた須恵器には、主に蓋、坏（つき）、高坏、平瓶、皿、甕（おう）、鉢などがあります。特に注目されるのは、陶棺（陶製の棺桶）や寺院の屋根に用いられる鴟尾（しび）、そして官衙で使用される硯など、特異な用途を持つ陶器の製造です。これらは、藤原京や奈良県の古都跡、さらには近畿地方の遺跡からも発見されており、寒風古窯跡群が官窯としての役割を果たしていたことが示唆されています。

寒風古窯跡群周辺の施設

遺跡の南側には「寒風陶芸会館」という公立の施設があります。ここでは、時実黙水が採取した須恵器や、調査中に出土した品々が展示されています。また、地元の陶芸家の作品も見ることができ、陶芸教室も開催されています。入館は無料で、月曜日が休館日です。

さらに、寒風陶芸村では15軒の陶芸家が作陶を行っており、主に備前焼が中心ですが、いくつかの窯では釉薬を使用した陶器も製作されています。この地域は、豊かな陶芸文化が根付いていることが伺えます。

文化財としての位置づけ

寒風古窯跡群は、1986年に国の史跡として指定され、その重要性が認識されています。地元の人々にとってもこの遺跡は誇りであり、今もなお多くの人々の研究や創作の対象となっています。

この遺跡を訪れることで、古代の人々の暮らしや技術を身近に感じることができるでしょう。それでは、皆様も是非、寒風古窯跡群の歴史と魅力に触れてみてください。

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