寸沢嵐石器時代遺跡

寸沢嵐石器時代遺跡

神奈川県相模原市緑区寸沢嵐に位置する寸沢嵐石器時代遺跡は、縄文時代中期末（約4500～4000年前）の集落遺跡であり、国の史跡としてその価値が認められています。

概要

遺跡は、相模川が丹沢山系を抜け、相模湖へと至る段丘上に広がっています。遺跡の名称に「石器時代」とありますが、これは発見当初に十分な研究が進んでおらず、石器時代の遺跡と考えられたためです。後の調査で、遺跡の大部分が縄文時代のものと判明しました。

1928年（昭和3年）7月、畑の耕作中に地表下から石が敷かれている箇所が発見されました。その後、地元の長谷川一郎氏による発掘調査が行われ、柄鏡形敷石建物（敷石住居）跡がほぼ完全な形で姿を現しました。この発見を受け、1930年（昭和5年）11月19日に国の史跡に指定されています。

発見された敷石建物跡は、東西約5.1メートル、南北約4.5メートルの楕円形をしています。主体部は長径4.3メートル、短径3.3メートルで、北東部には幅0.8メートル、長さ1.4メートルの張り出し部分があります。床面には、20～50cmの平らな河原石が敷き詰められ、その隙間には小石が詰め込まれて固定されています。敷石の中央には、一辺約60センチメートルの正六角形の石囲い炉が設けられており、火を炊いた痕跡も見られます。

敷石建物跡からは、石斧、石器、土器など、多くの遺物が出土しており、当時の人々の生活を知る上で貴重な資料となっています。現在、遺跡には六角形の小屋が整備され、敷石建物跡を保護・公開しています。

近隣地域では、1924年（大正13年）10月に東京都町田市で高ヶ坂石器時代遺跡が発見されています。寸沢嵐石器時代遺跡は、神奈川県内では初めて発見された縄文時代中期の敷石建物であり、敷石建物研究の黎明期における重要な発見として位置づけられています。関東地方の典型的な敷石建物として、考古学研究史上、欠かすことのできない遺跡と言えるでしょう。

所在地

相模原市緑区寸沢嵐568-2 ほか

アクセス

JR中央線相模湖駅から神奈川中央交通バス（三ヶ木行き）に乗車、「寸沢嵐遺跡前」で下車、徒歩すぐ。

脚注

文化庁「国指定[文化財]]等データベース」[https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails.asp?register_id=204&cultural_property_id=40204
[相模原市]]「史跡寸沢嵐石器時代遺跡」[https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/shisetsu/bunka/iseki/1006494.html

関連項目

縄文時代の遺跡一覧
* 関東地方の史跡一覧

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