寺口淳治

寺口淳治氏は1962年大阪府大阪市生まれのキュレーター、美術評論家です。関西大学卒業後、岡山県井原市の平櫛田中美術館で学芸員の経験を積み、その後和歌山県立近代美術館へと移り、学芸課長を務めました。

氏のキャリアにおける大きな転換期となったのは、2012年の第25回倫雅美術奨励賞受賞です。田中恭吉氏の作品を深く掘り下げた著書『田中恭吉　ひそめるもの』（玲風書房）が、その受賞対象となりました。本書は、田中恭吉氏の芸術性に対する鋭い洞察と、綿密な研究に基づいた高い評価を得ており、寺口氏の美術評論家としての力量を広く知らしめるものとなりました。

近年では、広島市立現代美術館の館長として、美術界に新たな風を吹き込んでいます。2020年から休館していた同館を再始動させ、2021年に館長に就任。就任後は、現代美術への敷居の高さを解消し、より多くの人々に現代美術を親しんでもらうための様々な取り組みを展開しています。

その象徴的な取り組みとして挙げられるのが、2023年に開始された「ないてもOK」ベビーカーアートナビ・ツアーです。これは、乳幼児連れの親が、安心して現代美術鑑賞を楽しめるように企画された画期的な試みです。ベビーカーでの来館を歓迎するだけでなく、専門のスタッフによる解説ツアーを実施することで、子供にも分かりやすく、親しみやすい形で現代美術を紹介しています。

寺口氏は、この取り組みについて「現代美術は子供と相性がいい」と語っており、現代美術の持つ多様性や創造性を、幼い頃から体感させることの重要性を強調しています。この発言からは、氏が現代美術を単なる専門家の鑑賞対象としてではなく、より広く社会に開かれたものとして捉えている姿勢が読み取れます。

寺口淳治氏の活動は、美術館という枠にとどまらず、現代美術の普及啓発、そして新たな鑑賞スタイルの提案という点において、大きな意義を持っています。今後も、氏の活動から目が離せません。氏の今後の活動によって、現代美術がより身近で親しみやすいものとなり、多くの人々の心を豊かに彩ることを期待しています。

彼の活動は、単なる美術品の展示にとどまらず、現代美術へのアクセスを容易にするための工夫や、鑑賞方法の多様化という点において、大きな貢献を果たしています。子供連れでも安心して現代美術を楽しめる環境を作ることで、より幅広い層に現代美術の魅力を伝えようとする姿勢は、現代の美術館運営における模範となるでしょう。

このように、寺口淳治氏は、キュレーター、美術評論家としてだけでなく、美術館館長としての役割を通して、現代美術界に大きな影響を与え続けています。その活動は、これからも美術界の発展に貢献し、多くの人々に感動と喜びを与え続けるものと期待されます。

もう一度検索