寺尾威夫

寺尾威夫（1905年4月5日 - 1974年5月25日）は、日本の実業家であり、大和銀行（現在りそな銀行）の頭取、会長を歴任しました。奈良県吉野郡十津川村出身です。

東京帝国大学法学部を卒業後、1929年に野村銀行（のちの大和銀行）に入行しました。銀行員として着実にキャリアを重ね、1947年1月に取締役に就任。その後、常務、専務を経て、1950年8月には社長に就任しました。1951年11月からは大和銀行頭取となり、1973年4月までその職を務めました。退任後は会長に就任しています。

頭取在任中には、大和銀行の経営において重要な決断を行いました。1965年、大蔵省から信託業務の分離を求める行政指導を受けましたが、寺尾はこれを拒否し、信託業務の兼営を維持しました。この決断は、当時としては異例であり、寺尾の経営手腕と強い信念を示すものとして評価されています。

寺尾は、銀行経営者としての活動に加えて、経済界の発展にも尽力しました。関西経済同友会の幹事、大阪商工会議所の副会頭などの要職を歴任し、地域経済の振興に貢献しました。これらの活動を通じて、多くの経済人との交流を深め、幅広い人脈を築きました。

1974年5月25日、急性肺炎のため69歳で死去しました。寺尾の死後も、その功績は大和銀行、ひいては日本の金融業界に深く刻まれ、記憶されています。

参考文献

* 人事興信所 編『人事興信録 第26版 下』人事興信所、1971年。

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