寺島靖国

寺島靖国は、1938年2月11日生まれの日本のジャズ評論家であり、ジャズ喫茶「Meg」のオーナー兼マスターです。東京都中野区出身で、早稲田大学文学部独文科を卒業しています。1970年に開店したジャズ喫茶「Meg」は、ジャズファンにとって特別な場所となっています。

寺島は、ジャズに関する著述家としても活躍しており、処女作「辛口! JAZZノート」をはじめ、多数の著書を出版しています。彼の著作は、ジャズの歴史や音楽性だけでなく、オーディオへの深い造詣も反映されています。寺島は、印税収入を元にオーディオ探求にも力を注ぎ、ジャズ雑誌やオーディオ雑誌などに評論やエッセイを発表しています。

2007年には、自身のプロデュースによるレーベル「寺島レコード」を発足しました。このレーベルは、「曲は哀愁、演奏はガッツ」「三分間芸術」「ニュー・レトロ・フィデリティ・サウンド」をテーマに、音質やジャケットにもこだわった作品をリリースしています。アナログ盤とCDでジャケットを変えるなど、細部にまで彼のこだわりが感じられます。また、朝日カルチャー・センター、多摩川コミュニティ・クラブ、早稲田大学オープン・カレッジでジャズ講座の講師も務めています。

寺島のジャズに対する姿勢は、主流の評論とは一線を画しています。彼は、黒人プレイヤー偏重やプログレッシブ志向、芸術性賞揚といった傾向に捉われず、「聴いて楽しいこと」を重視しています。1950年代の白人ジャズや女性ポピュラーボーカル作品など、商業的と見なされがちな作品も積極的に紹介し、それらを再評価することにも力を入れています。彼の辛口な批評は、時に物議を醸すこともありますが、その根底には、ジャズへの深い愛情と、自身の趣味に忠実であろうとする姿勢があります。

寺島は、オーディオにも並々ならぬ情熱を注いでいます。ジャズ喫茶「Meg」と自宅には、ドイツ製の大型高級スピーカー「アバンギャルド」を設置しており、特に自宅用のスピーカーは、当時の価格で700〜800万円と言われています。また、カラーリングにもこだわり、Meg用は店に合わせてホーン部を赤色、自宅用は自分の好きな黄色にしています。2015年には、長谷弘工業が発売したジャズ専用スピーカー「UMU-191M」を試聴し、その音質に惚れ込んで購入しました。このスピーカーには、自身のCDシリーズにちなんで「JAZZ Audio Fans Only」と命名し、それまで使っていたドイツ製小型スピーカーを手放しています。ここでも、イエローの鏡面仕上げによる納品を指定し、メインスピーカー「アバンギャルド」とのカラーリングを統一しています。

寺島の杉並高等学校の同期には、日枝久（フジテレビ・現会長）がおり、彼の著書でも時々、日枝の名前が挙がります。

主な著書には、『辛口! JAZZノート』、『JAZZリクエスト・ノート』、『痛快！JAZZある記』、『感情的JAZZコレクション』、『吉祥寺JAZZ物語』、『辛口! JAZZ名盤1001』、『JAZZの聴き方に法則はない』、『JAZZ晴れ、時々快晴。』、『JAZZオーディオ「快楽地獄」ガイド』、『愛と哀しみのジャズカタログ』などがあります。また、「寺島レコード」からは、数多くのジャズアルバムがリリースされています。

寺島靖国は、ジャズ評論家、ジャズ喫茶のマスター、そしてオーディオ愛好家として、多岐にわたる活動を通じて、ジャズの魅力を発信し続けています。

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