寺廻太

寺廻 太（てらまわり ふとし）

寺廻太は1958年1月22日生まれの日本の元男子バレーボール選手であり、指導者でもあります。広島県安芸郡坂町に生まれた彼は、明治大学の政経学部政治学科を卒業し、その後、バレーボール界でのキャリアを積むことになります。特に、監督としての実績が光る彼は、数多くの大会でチームを優勝へ導く活躍を見せました。

来歴

彼のバレーボール人生は、高校時代から始まります。崇徳高等学校ではエースプレーヤーとして活躍し、1975年には春高バレー・高校総体・国体の三冠を達成。この成功を受けて、明治大学ではセンタープレーヤーとしてその才能をさらに磨きました。1980年には日本電気（現在のNEC）に入部し、そこでオールラウンドプレーヤーとして日本リーグで活躍することになります。

1987年にはコーチに専念し、1988年には監督に昇格。彼が指揮するNECブルーロケッツは、Vリーグで三度の優勝、全日本選手権で四度の優勝を果たし、名将としての名を馳せました。特に1996年のアトランタ五輪後には、全日本男子の復活を狙い、監督に招かれます。しかし、シドニー五輪の予選では惜しくも出場を果たせず、最終戦をもって退任しました。

その後、寺廻はさらなる指導力向上を目指し、海外でのコーチ留学を決意。2000年には韓国のプロリーグ強豪チーム、三星火災にプロコーチとして就任し、続けて2001年にはイタリアセリエAやフランスプロAでコーチ留学を行いました。2002年からはチャイニーズ・タイペイの監督を務め、わずか半年で全日本に勝利を収めるなど、その指導力を証明しました。

退任後は地元広島を中心に「寺廻塾」や「バレーボールクリニック」を開催し、バレーボールの普及に努めたほか、ワールドカップの中継で解説者としても活躍しました。2005年にはVリーグ女子JTマーヴェラスの監督に就任し、初の女子チームの監督として奮闘しますが、初年度は下位に沈みました。しかし翌年の2006-07Vプレミアリーグでは、チームを初の準優勝に導くことに成功しました。

その後も、2009年にはJTマーヴェラスの監督を退任し、2011年にはV・チャレンジリーグのPFUブルーキャッツの監督に就任。2018年には女子強化委員長に就任し、PFUの監督を退任する形で新たな役割を担いました。彼は2020年までこのポジションを務め、女子バレーの強化に貢献しました。

全日本男子監督時の不運

1997年に全日本男子監督に就任した寺廻は、五輪出場を逃した直後だったため多くの注目を浴びました。しかし、彼の指揮のもとでのチームは、ワールドリーグや国別対抗戦といった大きな大会への参戦をせず、内部対戦が中心となり、結果として期待外れに終わりました。1998年の世界バレーでは開催国でありながら2次リーグで敗退し、厳しい評価を受けることとなったのです。

寺廻はその後も様々なチームと共に歩んできましたが、選手の入れ替わりが激しくレギュラーメンバーを固定できなかったことも響いています。バレーボール界への貢献が大きい寺廻は、その指導経験を通じて多くの選手を育て上げてきました。

所属チーム（選手・指導者）

• - 選手: 崇徳高等学校、明治大学、日本電気（1980-1987年）
• - 指導者: 日本電気・NECブルーロケッツ（1987-1996年）、男子日本代表（1997-2000年）、三星火災（2000-2001年）、チャイニーズタイペイ男子代表（2002年）、JTマーヴェラス（2005-2009年）、PFUブルーキャッツ（2011-2018年）

寺廻太という名は、日本のバレーボール界において忘れ去られることのない存在であり続けています。

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