寺沢徹

寺澤 徹（てらさわ とおる）

寺澤徹は、1935年1月4日に東京都で生まれた元マラソン選手で、日本の陸上競技界に多大な影響を与えた人物です。彼はかつて、マラソンの世界最高記録保持者でもあり、多くの大会で優れた成績を収めてきました。特に、自身の記録更新を重ねながら国際大会にも出場し続けたことで、彼の功績は今も色あせていません。

1. 生い立ちと競技への転向

寺澤は幼少期を第二次世界大戦中に富山県高岡市で過ごしました。高校時代はハンドボール部に所属していましたが、その後、健康な足のおかげで陸上競技部に転向。1953年に富山県立高岡商業高等学校を卒業後は地元の自動車販売店で働きながら陸上競技を続け、1957年には栃木国体の5000mで6位に入賞しました。

その後、1959年にプリンス自動車富山工場に転職したのを機にマラソン競技に本格的に取り組むようになり、1960年になると倉敷レイヨンに転職し、大阪へと拠点を移しました。これにより、練習環境も整い、マラソンの成績が向上するきっかけとなります。

2. 日本及び世界記録の更新

寺澤は1960年の福井マラソンでマラソンデビューを果たし、3位に入賞。その後も順調に成績を重ね、1962年には朝日国際マラソンで初優勝を果たし、ここで、日本記録を更新しました。さらに1963年には別府大分毎日マラソンで当時の世界記録を更新し、以降、続けて日本最高記録を更新する快挙を達成しました。

1965年には自己ベストを更新し、さらにその年のボストンマラソンでは日本選手が一、二、三位を占めるという偉業を成し遂げました。これにより、日本のマラソン界の地位を大きく高めることに貢献しました。

3. 東京オリンピック出場

1964年、寺澤は東京オリンピックに出場し、同じく日本代表の選手たちと共に競技に臨みました。彼は事前の持ちタイムでは最も良かったものの、オリンピックでは15位に終わりました。この経験は、彼の今後の競技人生においても大きな影響を与えました。

4. 選手生活から指導者へ

競技者としての活躍が続く中、寺澤は引退後、指導者としての道を歩み始めます。1968年から1974年までクラレ陸上部の監督を務めた後、1989年から2005年にかけてYKK陸上部の監督及び顧問として指導に携わりました。また、日本陸上競技連盟からも高く評価され、2003年には「秩父宮章」を受賞しました。

5. マラソンの普及と後進の育成

寺澤はその後もマラソン指導者として、選手の育成やマラソンの普及活動に尽力し続けています。市民ランナーやゲストランナーとして多くの大会にも参加し、選手たちへの手本となる存在となっています。

6. まとめ

寺澤徹のスポーツ人生は、マラソンだけでなく、若い選手たちへの育成にも力を注いだことが特徴です。彼の記録や成績は今も語り継がれ、多くの人々にとってのインスピレーションとなっています。彼のマラソン哲学や活動が、今の時代にも影響を与えていることは間違いないでしょう。

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