寺田弘

寺田弘は、1914年4月29日に福島県で生まれ、2013年3月7日に老衰のため98歳で亡くなった日本の詩人です。明治大学専門部を卒業後、愛知教育大学事務局長や都民劇場常任理事などを歴任しました。1991年から1993年まで日本詩人クラブ会長を務め、1996年には現代詩人会から先達詩人顕彰を受けました。

寺田弘の詩は、戦中・戦後の社会状況や、故郷への深い想いを反映しています。初期の作品には、戦争体験に基づく苦悩や悲しみが色濃く表れており、傷痍軍人たちの心情を代弁した詩集『傷痍軍人詩集』(1943年)はその代表例です。戦後の作品では、失われた故郷の風景や、人間の存在に対する深い問いかけがテーマとなっています。詩集『故園の書』(1977年)では、故郷への愛惜の念が、豊かな叙情とともに描かれています。

また、寺田弘は詩の朗読運動にも積極的に取り組みました。詩集『詩に翼を 詩の朗読運動史』(1992年)では、詩を声に出して読むことの重要性を訴え、多くの人々に詩の魅力を伝えようと努めました。彼の詩は、言葉の響きやリズムを大切にしており、朗読を通してその魅力がより一層引き出されます。

寺田弘は、詩人としての活動だけでなく、詩壇の発展にも大きく貢献しました。日本詩人クラブ会長として、詩人の地位向上や、若手詩人の育成に尽力しました。また、多くの詩集や評論を発表し、日本の現代詩の発展に大きな足跡を残しました。

寺田弘の代表的な著作としては、『傷痍軍人詩集』、『はしれはしれ』、『故園の書』、『寺田弘詩集』、『詩集 勲章について』、『詩に翼を 詩の朗読運動史』、『独楽余滴』、『三虎飛天』などが挙げられます。

彼の詩は、繊細な言葉で人間の心の奥底を描き出し、読者の心に深く響きます。また、その詩には、故郷への愛や、平和への願いが込められており、現代社会においても多くの人々に共感を与えています。

寺田弘は、日本の現代詩を代表する詩人の一人として、その作品は今後も読み継がれていくでしょう。

主な著書
傷痍軍人詩集（編）四季書房 1943
はしれはしれ 東山書房 1948
故園の書 白鳳社 1977.9
寺田弘詩集 宝文館出版 1978.8 (昭和詩大系)
詩集 勲章について 国文社 1985.10
詩に翼を 詩の朗読運動史 詩画工房 1992.5
寺田弘詩集 土曜美術社出版販売 1994.4 (日本現代詩文庫)
独楽余滴 緑の笛豆本の会 1997.8 (緑の笛豆本)
* 三虎飛天 詩集 書肆青樹社 2005.11

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